2025年4月から始まる新年度に向けて3月6日、文部科学省は「法等に基づくいじめに対する平時からの備え」について、各都道府県の教育委員会らに通知を出した。いじめの積極的な認知、早期発見・早期対応の徹底や重大事態の発生を防ぐための中核的な取組みについてまとめている。
国公私立の小・中・高・特別支援学校におけるいじめの認知件数は約73万3,000件、重大事態の発生件数は1,306件とそれぞれ過去最多となった(令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果)。これを受け、文部科学省では2024年8月に、いじめの重大事態調査のガイドラインを改訂するなど、いじめ防止対策を強化している。
今回、4月から新年度を迎えるにあたり、いじめの積極的な認知および早期発見・早期対応の徹底や重大事態の発生を防ぐための中核的な取組みについて、あらためて通知を発出。取組みを3項目「学校におけるいじめに対する平時からの備え」「学校の設置者におけるいじめ対応に向けた平時からの備え」「チェックリストを活用した、平時からの備えに関する点検」にまとめ、添付資料や参考資料を掲載した。
学校においては、すべての教職員が、いじめの定義の正しい理解や組織的対応のあり方、重大事態への対処方法等を確実に認識しておくために、年度初めの職員会議や教員研修等において、法や基本方針を確認することなどを、あらためて要請。
特に法第22条に基づいて、すべての学校に設置されている「学校いじめ対策組織」は学校におけるいじめの防止および早期発見・早期対応に関する措置を実効的・組織的に行うための中核となる常設の組織であることを全教職員が認識し、学校いじめ対策組織が実効的な機能を果たすため、情報や対応方針の「可視化(見える化)」や発言することへの安心感をもてる状態(心理的安全性)の確保を図るよう求めている。
学校設置者に向けては、重大事態ガイドラインのチェックリストを活用し、学校いじめ対策組織の組織体制整備等の平時からの備えについて適切に実施できているかなど点検の実施を進めるよう要請。チェックシート記入の際の補足事項をまとめた別添資料を添付し、各学校への指導・助言も依頼した。
文部科学省では2025年度、国公私立の学校および設置者を対象に、チェックリストの項目ごとの取組状況に関する調査を実施予定だという。