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過去最多いじめや不登校の対応強化を…文科省通知

 文部科学省は、2024年10月31日付の「2023年度(令和5年度)児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」において、小中高のいじめの認知件数、重大事態、小中および高校の不登校が過去最多となったことを公表。猶予なき事態を受け、同日に各都道府県・指定都市教育委員会や学校設置者に対し、調査結果を踏まえた対応の充実を求める通知を発出した。

教育行政 文部科学省
令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果およびこれを踏まえた対応の充実について(通知)
  • 令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果およびこれを踏まえた対応の充実について(通知)
  • いじめの状況について
  • いじめの重大事態について
  • 暴力行為の状況について
  • 小・中学校における不登校の状況について
  • 高等学校における不登校の状況について
  • 自殺の状況について

 文部科学省は、2024年10月31日付の「2023年度(令和5年度)児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」において、小中高のいじめの認知件数、重大事態、小中および高校の不登校が過去最多となったことを公表。猶予なき事態を受け、同日に各都道府県・指定都市教育委員会や学校設置者に対し、調査結果を踏まえた対応の充実を求める通知を発出した。

 今回の調査結果では、2023年度の国公私立小中学校の不登校児童生徒数が約34万6千人、高校の不登校生徒数が約6万9千人、国公私立の小中高・特別支援学校におけるいじめの認知件数が約73万3千件、うち重大事態の発生件数が1,306件と、それぞれ過去最多を更新。加えて、国公私立小中高から報告のあった自殺した児童生徒数は397人、暴力行為の発生件数が約10万9千件となるなど、子供たちを取り巻く環境が看過できないものになっている現状が明らかとなった。

 これらの結果を受け、文部科学省は各教育委員会や学校設置者に対し、子供たちの小さなSOSを見逃さず、「チーム学校」での素早い支援と、教育・福祉等の連携による支援が必要なときに的確に行われるよう通知を発出。所管の学校への周知徹底と、各地域や学校単位での現状の分析、各事項への対応の徹底を含めた生徒指導の一層の充実が図られるよう対応の強化を求めた。

 たとえば、不登校児童生徒への支援の充実については、不登校児童生徒支援の基本的な考え方として、不登校というだけで問題行動であると受け取られないような配慮や、「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて社会的に自立することを目指す必要があるといった点をあらためて示したうえで、文部科学省が掲げる「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」の着実な実施などを求めている。

 いじめの問題についても、同様に対応策を明記。文部科学省では、いじめの認知件数が多い学校について「いじめを初期段階のものも含めて積極的に認知し、その解消に向けた取組のスタートラインに立っている」と極めて肯定的に評価しており、過去最多の認知件数となった部分についても、積極的な認知や学校をあげての早期発見・早期対応に向けた結果として捉えている。

 一方で、いじめの重大事態については、今回の調査において重大な被害を把握する以前にいじめとして認知していたものは1,306件のうち816件にとどまっているとし、あらためていじめの未然防止、積極的な認知、早期発見・早期対応、継続的な見守り等の基本的な取組みを着実に実施することの重要性を示した。児童生徒や保護者から申立てがあったときは、いじめが起こり得ない状況であることが明確であるなど、重大事態にあたらないことが明らかである場合を除き、重大事態が発生したものとして報告・調査等にあたることとしている。

 そのほか、自殺対策、暴力行為、出席停止制度の運用、高校における中途退学への対応、教育相談体制の充実、生徒指導上の諸課題への組織的な対応および関係機関との連携強化の各項目について、具体的な対応策と関連資料などを細かく提示。子供たちが安全に安心して過ごせる環境が守られるよう、学校現場や関係各所へ対応の充実を求めている。

《畑山望》

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