文部科学省は2024年12月20日、2023年度(令和5年度)公立学校教職員の人事行政状況調査の結果を公表した。精神疾患で休職する教員は7,119人にのぼり、3年連続で過去最多を更新した。
公立学校教職員の人事行政状況調査は、公立の小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校における教職員の人事行政の状況を調査したもの。2023年度は教育職員の総計92万415人(2023年5月1日現在)を対象に、精神疾患による病気休職者や懲戒処分の状況、女性管理職割合などを調べた。
教育職員の精神疾患による病気休職者数は全教育職員数の0.77%にあたる7,119人。前年度から580人増加し、3年連続で過去最多を更新した。性別でみると男性2,866人に対し、女性が4,253人と多く、年代別では30代が最多。勤務年数は3年未満が6割超を占めた。病気休職の要因は「児童・生徒に対する指導そのものに関すること」26.5%がもっとも多く、ついで「職場の対人関係」23.6%、「校務分掌や調査対応等、事務的な業務に関すること」13.2%となっている。
また、懲戒処分等を受けた教育職員は4,829人(0.52%)にのぼり、前年度から257人増加した。懲戒処分の内訳は「体罰」343人、「不適切指導」509人、「性犯罪・性暴力等」320人。また「性犯罪・性暴力等」で懲戒処分を受けた者のうち、約半数を占める157人は「児童生徒性暴力等」により懲戒処分となった。
一方、女性管理職の人数は、2024年4月1日現在で1万6,658人。管理職全体に占める割合は24.9%(校長22.2%、副校長・教頭27.2%)で過去最高となり、第5次男女共同参画基本計画(2021年度から2025年度まで)における数値目標を達成した。
学校における働き方改革の一層の推進が求められる一方、懲戒処分の教育職員は増えており、性暴力の根絶も望まれる。6月には子供に関わる仕事に就く人の性犯罪歴を確認する制度「日本版DBS」も可決。2028年度には施行予定であり、加害行為に見合った厳正な対処を期待したい。
文部科学省では調査結果を踏まえて、今後、人事行政を適切に行ううえでの留意事項の通知や、人事担当者を集めた研修会の実施などを予定しているという。