学校法人立命館とFC今治高校里山校は2024年8月9日、「探究学習と大学の学びとの接続を考える共同研究会」を設立した。大学の専門性に加え、EdTech企業の協力も得て、高校の探究学習を大学につなぐ新たな高大連携プログラムと入試制度の開発を目指す。
立命館は、2030年へ向けた学園ビジョン「R2030」を掲げ、附属校と連携した一貫教育モデルの構築を推進。2022年度からは、atama plusとの共同研究で開発したAO選抜への新しいチャレンジメソッド「UNITE Program」を実施している。
2024年4月開校のFC今治高校里山校は、「ヒストリック・キャプテンシップ」をもったリーダーの育成を目指し、探究学習をベースとした実学・実践的なカリキュラムを展開している。
今回、立命館とFC今治高校里山校は共同研究会を設立し、探究学習と大学の学びの接続に関する研究を進めることを表明。8月9日に立命館の森島朋三理事長、伊坂忠夫副総長、今治明徳学園の岡田武史学園長、FC今治高校里山校の辻正太校長の出席のもと、共同研究会設立に関する協定締結式を執り行った。
立命館らによると、学校現場では探究的な思考力と横断的・総合的な学習能力の育成を目指し、主体的な学びを促進する取組みが進んでいるが、高校卒業後の学び、特に大学教育との接続は十分とは言えないという。
共同研究会では、相互の人的・知的資源を生かして連携することで、顕在化する社会課題、テーマに対して、探究学習や大学側のコンテンツを組みあわせた新たな高大連携プログラムの開発に着手。atama plusやInspire Highの協力も得て、多様な学習歴のマーケットや探究学習の実態を把握・研究し、AI教材を活用した「UNITE Program」も活用しながら入試企画の開発に取り組む。
今後は、FC今治高校里山校の1期生が3年生になる2027年をめどに研究会をまとめ、探究学習で培った課題解決能力や主体性を生かせる高大接続プログラムと入試制度の開発を目指すとしている。
探究学習をより発展させるような入試やプログラムを大学高校間で進められるような情報発信も行い、研究内容の社会的還元にも協力。生徒・学生間交流、教員(コーチ)間交流、探究学習支援として大学院生や研究者をFC今治高校里山校へ派遣するなど、人材交流も検討している。
立命館の森島理事長は「探究学習の経験を、大学生活においても継続し、社会活動にコミットしていくためには、高校と大学における探究の学びが密接に連携するプログラムを構築することが重要になってきます。研究会は、高校と大学の接続や入試のあり方を変え、教育の価値転換につながる可能性を秘めています。今回の協定締結を契機に、FC今治高校里山校とともに、日本の教育と社会に新たな価値を提供できるよう取り組んでまいります」とコメント。
今治明徳学園の岡田学園長は「今回の立命館大学との連携により、高校での探究学習が大学でのより深い学びへと切れ目なくつながっていく、新たなアプローチを模索していきたいと思っています。そして、この取組みが、日本の教育のあり方を変える一石となることを願っています」と述べている。