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保育士の配置基準見直し、6割「期待」も効果実感は3割

 4月に76年ぶりとなる4~5歳児の配置基準が改められたことを受け、63.4%の現役保育士が期待を寄せていることが、2024年5月20日に明日香が発表した調査結果から明らかとなった。精神的な負担の軽減や保育者同士のコミュニケーションの増加に、多くの期待の声が寄せられている。

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【2024年版】保育士配置基準見直しと保育の質向上に関する定点調査サマリー
  • 【2024年版】保育士配置基準見直しと保育の質向上に関する定点調査サマリー
  • 今現在、勤務している園の配置数と処遇についてどのように感じているか
  • 保育士の配置基準見直しの施策に対して期待しているか
  • 保育士の配置基準見直しの施策に対して効果を感じているか
  • 保育士の配置基準見直しによって保育の質が向上する、もしくは向上していると思うか
  • 配置基準の見直しによって業務のどのような部分が改善されると思うか

 4月に76年ぶりとなる4~5歳児の配置基準が改められたことを受け、63.4%の現役保育士が期待を寄せていることが、2024年5月20日に明日香が発表した調査結果から明らかとなった。精神的な負担の軽減や保育者同士のコミュニケーションの増加に、多くの期待の声が寄せられている。

 保育士配置基準見直しと保育の質向上に関する調査は、保育研究プロジェクト「子ねくとラボ」を運営する明日香が現役保育士104名を対象に、5月1日~3日にインターネットで実施したもの。前年(2023年)に続き2回目の調査となる。

 政府は4月に76年ぶりとなる4~5歳児の配置基準を改め、保育士等のさらなる処遇改善も示した。今現在、勤務している園の配置数と処遇についてどのように感じているかとの問いには、32.6%が「配置数・処遇ともに十分」と回答。「配置数・処遇ともに不十分」は38.5%、「処遇が不十分」は18.3%、「配置数が不十分」は5.8%となり、あわせて62.6%が「配置数」または「処遇」に満足していない状況にあることががわかった。

 一方、前年と比較すると、「不十分」との回答は16.6ポイント減っており、一定程度、配置基準の改善が効果をみせていることがうかがえる。

 保育士の配置基準見直しの施策に対しては、「非常に期待している」33.6%、「やや期待している」29.8%と、63.4%が「期待」の声を寄せた。対前年では3.1ポイント増加した。

 「非常に+やや期待している」と回答した66人を対象に、どのような点に期待しているかを自由回答で聞いたところ、「制度ができたことで職場環境や待遇の改善に期待できると感じたから」や「保育士の負担が減り、より良い保育につながる」「人員配置により子供たちとの時間が増える」などの回答があがった。

 保育士の配置基準見直しの施策に対して効果を感じているかとの質問では、「非常に感じている」22.1%、「やや感じている」12.5%という結果に。現場で効果を実感している保育士は34.6%にとどまった。

 一方、保育士の配置基準見直しによって保育の質が向上する、もしくは向上していると思うかと尋ねたところ、「非常にそう思う」24.9%、「ややそう思う」30.8%となり、半数以上は保育の質向上につながると感じていることがわかった。

 具体的に業務のどのような部分が改善されると思うかとの問いでは、「精神的な負担が減る」が53.4%ともっとも多く、ついで「保育者同士のコミュニケーションに割ける時間が増える」50.0%、「『目』が増えることで、子供ひとりひとりの成長に見合った保育が実践できる」44.8%、「より安全を確保できる」41.4%と続いた。

 明日香は、今回の調査結果から、保育士の配置基準見直しに対する保育現場のとらえ方の変化が明らかになったと分析。配置基準見直しに期待の声が寄せられる一方、効果を実感できていない保育士も存在しており、その理由として「配慮の必要な子供が増加していて人員が増えても十分な援助、支援や保育が難しいと感じるから」という回答があがるなど、保育上の複雑性が変化する現代において、量的アプローチだけでは不十分であることが示されたとしている。調査レポートは、子ねくとラボのWebサイトから見ることができる。

《畑山望》

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