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【クレーム対応Q&A】学校の仕組みがわかりにくい

 クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第175回のテーマは「学校の仕組みがわかりにくい」。

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 学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第175回のテーマは「学校の仕組みがわかりにくい」。

 4月になり、新年度が始まりました。新しい環境で、フレッシュな気持ちで日々を過ごしている人も多いでしょう。逆に新しい環境で、仕組みの違いなどに戸惑い、苦労している人、悩んでいる人もそれなりにいるのだと想像します。学校も同様です。新しく学校に加わった人(新入生、転入生、異動してきた教職員など)は、その学校の仕組みがわからず、苦労している場合もあります。そういったことに関連し、今回は「学校の仕組みがわかりにくい」をテーマとします。

丁寧に説明することでトラブルを軽減

 親にとって学校を知ることは大切です。しかし、親が学校の仕組みを知る機会は少ないのが現状です。親に学校の仕組みをきちんと伝えていけば、誤解や不信などのトラブルを減らすことにつながるのではと思います。ただ、学校はその仕組みや取組みなどについての情報提供が十分ではないと私は感じています。私は長年、公立小学校で教えていましたが、情報提供が不十分な代表的なものは「入学時」です。公立小学校では入学の半年前の秋のタイミングで「就学時健診」と「入学説明会」が行われることが多いです。さまざまな情報を伝えていくのですが、それらの情報提供は十分ではないように思います。

 学校(特に公立学校)という組織は、説明などを丁寧に取り組んでいないという印象が私にはあります。学校以外の組織の場合、学校と比べ丁寧な説明がなされていることが多いです。学校(教師)は今回のことだけでないのですが、「教えた(伝えた)だけ」になっていることが多々あります。「言ったのだから、わかっているはずだ」という類いのものです。「言って」もすべてが「伝わった・理解した」というものではありません。授業では教師が「教えた」ことで終わりではありません。子供が理解できているのかを確認し、それが理解できていないようであれば、再度何らかの手を打っていく必要があります。

 ところで、民間の会社のホームページなどを見ると、とても丁寧に色々な説明がなされています。多くの人が疑問に持ちそうなことに関しては「よくある質問コーナー」などで説明をしていることもあります。そのうえで「問い合わせ窓口」があり、そこに連絡がしやすい仕組みとなっています。その点、学校はそこまで丁寧に仕組み作りがされているとは思えません。

 説明などが丁寧にされていないことにより「つまずき」が生じてしまうケースもあるのだと思います。たとえば、小1プロブレムは、いくつかの要因が指摘されています。私は学校の説明が十分でなかったことなどもその原因の1つなのではと考えています。学校の新入学時のために専用のページを作ったりすることは手間になります。ただ、その手間を掛けることによって、後ほど発生するかもしれないトラブルのリスクを減らすことにつながります。トラブルを未然に防ぐために事前に丁寧に取り組むことは一見仕事が増えるような感じなのですが、結果的には仕事を減らすことにつながります。私は学級担任をしている折、そういったことを意識していました。色々な場面で子供がトラブルを起こさないような手立てを考え、実行することで、後に起こったかもしれないトラブルを回避するという考え方です。

 情報発信においては、ネットワークを効果的に使っていくと良いでしょう。学校がもっと情報発信を行い、学校の仕組みを理解する親や地域の人が増えてくれば、学校教育活動がより良いものになっていくのではと思います。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談のほか、保護者が学校へ伝えた相談など、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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