デジタル庁は2024年4月5日、2023年度(令和5年度)教育関連の事業成果として、「高等学校入学者選抜のデジタル化に関する調査研究」の実施報告書をWebサイトに掲載した。紙媒体で作成している高校入試書類をデジタル化するため、実現可能性を検証している。
「高等学校入学者選抜のデジタル化に関する調査研究」は、アナログで作成・提出している高校入試の必要書類について、デジタル化が可能か検証したもの。中学・高校教職員の業務効率化、生徒・保護者の負担軽減を目的としている。
各都道府県における必要書類の状況は、「入学願書」「入学考査料」「調査書(内申書)」が100%と、いずれも提出を必須としているが、オンライン出願導入の可否により考査料納入方法の種類などは異なる。中学校の成績評価基準を一定にするための「成績一覧表」は30%、「写真」は23%、「志願理由書」は17%の地域が提出を求めている。
調査研究では、中学校の生徒が高校に入学するまでの期間を「志望校選択・決定から入試まで」「合格発表から入学高校決定まで」の2つに分類。作成・送付すべき書類などを調査し、紙媒体で作成・郵送されている場合、デジタル化(データで作成・データ連携化)が可能かを検証した。
モデルプロセス検証の結果、中学校で手書き作成している高校入試に係る書類は「微修正は手作業であるものの、中学校の校務支援システムから自動でデータ出力可能」と判断。郵送または持込みではなく、データとして提出することについては、考えられる方式や必要なセキュリティ施策を示した。
入金記録の確認は校務支援システムを利用できないため、出願書類の確認は校務支援システム、考査料入金記録の確認は出願システムを利用。中学校や保護者からの問合せが多いため、サポート可能な専属のスタッフやコールセンターを設置するとともに、中学校側が願書の確認プロセスを得られるようにする必要があるとした。
今後、手続きのデジタル化を進めていくうえでの留意事項には、「データの正確性と信頼性の確保」「フォーマットの統一化」「生徒や保護者の利便性の確保」「総合行政ネットワーク(LGWAN)の活用」をあげた。生徒の個人情報保護のほか、技術面での対応の必要性認識が重要だとしている。
実施報告書ではこのほか、デジタル化による効率化の具体例、教育委員会や中学校・高校教員などに対するヒアリング結果、公立高等学校入学者選抜の改善に向けた取組例なども掲載している。