教育業界ニュース

「子どもの権利」認知、保育現場3割弱…労働環境改善が急務

 196の国と地域が批准する国連「子どもの権利条約」。保育・教育現場の認知度は「内容までよく知っている」が27.9%であることが2023年11月22日、コドモンとセーブ・ザ・チルドレンの共同調査結果から明らかとなった。権利推進のため9割弱が労働環境の改善を望んでいる。

事例 その他
「子どもの権利」を知っていますか?
  • 「子どもの権利」を知っていますか?
  • 「子どもの権利」としてふさわしい内容であると思うものをすべて選んでください(複数選択可)
  • 子供と接する中で「子どもの権利」を尊重していますか?
  • 普段、子供と接する中で、どのようなことを心がけているか教えてください(複数選択可)
  • 直近1年間で、「子どもの権利」の尊重・推進のために、特別な取組みを実施しましたか?
  • 「子どもの権利」に関する取組みを行うにあたって、どのような難しさを感じていますか?(複数選択可)
  • 「子どもの権利」の尊重・推進のために、国や自治体に求めたいことをすべて選んでください(複数選択可)
  • 施設種別について教えてください

 196の国と地域が批准する国連「子どもの権利条約」。保育・教育現場の認知度は「内容までよく知っている」が27.9%であることが2023年11月22日、コドモンとセーブ・ザ・チルドレンの共同調査結果から明らかとなった。権利推進のため9割弱が労働環境の改善を望んでいる。

 コドモンとセーブ・ザ・チルドレンの共同調査は2023年9月5日~24日、CoDMON(コドモン)を利用する全国の保育・教育施設を対象にメール案内とWeb回答方式で実施。保育施設84.6%、学童6.3%、幼稚園1.5%、その他7.7%から272件の有効回答を得た(コドモン/セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン調べ)。

 「子どもの権利条約」は1989年11月20日に国連総会において採択。子供(18歳未満)の生きる権利や成長する権利、暴力から守られる権利、教育を受ける権利など、世界中の子供たちがもつさまざまな権利を定めている。

 「子どもの権利」の認知度は、「内容までよく知っている」27.9%、「内容について少し知っている」58.5%と、あわせて9割弱が子供の権利について、一定程度知っていることがわかった。「内容までよく知っている」と回答した人のうち、勤務経験が5年未満の職員は12.2%、25年以上は32.4%と、保育・教育施設で働く中で理解が促進されるようすがうかがえた。

 「子どもの権利」を尊重しているかについては、計98.2%が「尊重している/ある程度尊重している」と回答。「子どもの権利」を尊重するために心がけていることには、90.1%が「性別・障害・人種・生まれや文化(ルーツ)・経済状況などにより差別せず子供と接している」と回答した。一方で、職員・教員同士でワークショップを行うなど「子どもの権利」の理解を高める取組みをしている割合は50.4%と、もっとも少ない結果になった。

 直近1年間で「子どもの権利」の尊重・推進のために特別な取組みを実施したのは43.4%。具体的には、「職員間での取組み」「子供の意見をきく取組み」「保護者に対しての取組み」の3つに意見がわかれた。

 「子どもの権利」に関する取組みを行うにあたり、40.1%が「職員が多忙で『子どもの権利』についての授業・保育を実施する準備ができない」、25.7%が「適切な教材がない」、23.9%が「『子どもの権利』を教える具体的な方法がわからない」と回答。労働環境の改善に加え、子供への教え方も難しさの1つであることがわかった。

 子どもの権利の尊重・推進のため国や自治体に求めることは、「ゆとりのある保育・教育環境をつくるため、労働環境の改善や人手不足の解消を行うこと」が86.0%を占め最多となった。

《川端珠紀》

この記事はいかがでしたか?

  • いいね
  • 大好き
  • 驚いた
  • つまらない
  • かなしい

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top