愛知県は2023年11月7日、名古屋市と連携して、生成AIを行政業務で活用する際の条件や活用例、禁止事項などを整理したガイドラインを策定した。
「生成AIの利用に関するガイドライン」は、行政業務において、情報漏えいや他者の権利侵害などの危険性が指摘される生成AIを安全に利用するための指針となるもの。対象となる組織は、知事部局、地方公営企業、各種行政委員(会)、教育委員会、議会事務局。ただし、県警本部の職員と教育委員会に属する教員は除く。
同ガイドラインでは、生成AIの利用を、アイデア創出や文章の翻訳・要約、文章作成の補助、Excelの関数やマクロのコードの作成などにおいて推奨。一方で、個人情報や機密情報など、ただちに公表を前提としていない情報の入力は禁止とした。
利用にあたっては、原則、生成AIの入出力内容を記録する機能を有するサービスに限り、入力内容をAIの学習内容に反映させないよう設定することとしている。
また、生成物の内容には、誤りが含まれている可能性があるため必ず事実確認を行い、過度に依存することなく、業務における検討・判断の責任は人間である各職員にあることを理解して利用するよう注意を促している。
生成物については、著作権など既存の権利を侵害する可能性があるため、既存著作物などに類似しないか調査し、生成AIを利用したサービスを利用する際には、生成AIのポリシー上の制限にも注意が必要だとしている。
生成AIを活用するうえでのポイントには、「正確かつ詳細な情報の入力」と「回答の精度を高めるための手法(得られた回答の深掘りなど生成AIとの対話を繰り返すこと)」の2点をあげている。
大村秀章知事は11月7日の記者会見で、現在一部職員のみ利用可能となっている生成AIについて、2023年12月を目途に、利用可能な職員の対象を広げて、試験利用の規模を拡大していきたいと述べている。