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都内公立校のいじめ約6.6万件、全校種で増加…前年比1.1倍

 2022年度(令和4年度)における東京都の公立校のいじめの認知件数が、前年比1.1倍の6万6,314件にのぼることが、東京都が2023年10月4日に公表した調査結果から明らかになった。前年度と比べ全校種で増加していることに加え、いじめの解消率は前年度より低下した。

教育行政 教育委員会
暴力行為の状況(1)発生件数
  • 暴力行為の状況(1)発生件数
  • いじめの状況(1)「認知件数」と「解消しているものの割合」
  • いじめの状況(3)いじめを認知した学校数の割合
  • いじめの状況(4)いじめの認知件数が0の学校の割合
  • いじめの状況(6)いじめの発見のきっかけ
  • いじめの状況(9)法第28条第1項に規定する「重大事態」
  • 小・中学校における長期欠席の状況(1)長期欠席児童・生徒数
  • 小・中学校における長期欠席の状況(2)不登校出現率・学校復帰率

 2022年度(令和4年度)における東京都の公立校のいじめの認知件数が、前年比1.1倍の6万6,314件にのぼることが、東京都が2023年10月4日に公表した調査結果から明らかになった。前年度と比べ全校種で増加していることに加え、いじめの解消率は前年度より低下した。

 「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」は、暴力行為・いじめ・長期欠席者・高等学校における中途退学者等の実態を把握するために東京都が毎年実施しているもの。2022年度の調査対象は、東京都の公立の小学校1,274校、中学校622校、高等学校192校、特別支援学校63校。校数には義務教育学校・中等教育学校を含む。

 小・中・高校、特別支援学校の暴力行為の発生件数は2,892件で前年度より773件増加。学校別では、小学校が1,904件(前年度比655件増)、中学校が976件(同115件増)、高校が12件(同3件増)だった。2013年度からの暴力行為の発生件数の推移をみると、小学生は増加傾向にあり、2022年度も過去最多を更新。特に2021年度からの1年は急激な増加率となった。減少傾向にあった中学校も直近は2年連続で増加。高校はほぼ横ばいとなっている。

 いじめの認知件数は6万6,314件で、前年度と比べ6,479件増加。2015年度から2019年度まで全校種において増加傾向が続いていたが、コロナ禍の2020年度は大きく減少。その後また増加に転じ、2022年度は過去最多となった。

 学校別でみると、小学校が5万9,357件(前年度比5,147件増)で全体のおよそ9割を占める。中学校は6,841件(同1,281件増)、高校は63件(同35件増)、特別支援学校は53件(同16件増)。3月31日時点でいじめが解消しているものの割合は、2022年度は77.0%と、近年8割程度で推移していたものに比べやや低い結果となった。

 いじめの件数のうち、いじめ防止対策推進法で定められる「生命、心身または財産に重大な被害」「相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑い」が認められる重大事態にまで発展したものは48件。一方、いじめの認知件数が0の学校数は334校で、全体に対する割合は15.2%。小学校は3.8%、中学校は7.7%、高校は82.1%がいじめを認知していない。

 いじめの態様は、いずれの校種においても「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」が最多。小・中学校では「軽くぶつかられたり、遊ぶふりをしてたたかれたり、蹴られたりする」、高校では「パソコンや携帯電話等で、ひぼう・中傷や嫌なことをされる」が2番目に多い。小中学校では、認知したいじめの半数以上を学校の教職員等が発見。発見のきっかけは、「アンケート調査など学校の取組により発見」がもっとも多い。高校では、学校の教職員以外からの情報により発見が半数を超え「本人からの訴え」が最多だった。

 小・中学校における長期欠席者のうち、不登校児童・生徒は前年度比5,376人増の2万6,912人。そのうち、小学校は1万695人(前年度比2,756人増)、中学校は1万6,217人(同2,620人増)で、いずれも増加傾向にある。不登校出現率は小学校1.78%、中学校6.85%。学校復帰率は小学校29.5%、中学校21.7%で決して多いとはいえない状況が続いている。

 高校(全日制・定時制)全体の長期欠席者数は、6,593人。オンライン学習に参加したことによる長期欠席の減少などにより、前年度と比べ5,760人減少した。長期欠席者数のうち、不登校生徒は全日制1,412人、定時制2,519人、計3,931人。不登校生徒数はいずれも前年度より増加した。

《畑山望》

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