スタディプラスは、2022年度の経済産業省「未来の教室」実証事業の成果報告レポートを公表した。テーマは「教育データ利活用」で、教育機関向け学習管理プラットフォーム「Studyplus for School」を通じて、スタディログの一元化および利活用に関する調査・検証を実施したという。
「未来の教室」実証事業は、経済産業省が「『未来の教室』ビジョン(2019年6月)」を踏まえ、さまざまな個性の子供たちが、未来を創る当事者(チェンジ・メイカー)になるための学習環境づくりを目指し、「学びの探究化・STEAM化」「学びの自律化・個別最適化」「新しい学習基盤づくり」を柱に、2018年度より取り組んでいるもの。
スタディプラスは「Studyplus for School」を導入している学校および民間教育機関、クラーク記念国際⾼等学校横浜⻘葉キャンパス、⽯川⾼等学校(福島県)等の生徒を対象に、「未来の教室」実証事業として「教育データ利活用」に関するテーマの実証を行った。実証では、複数のEdTechサービスをLMS(Studyplus for School)に連携し、サービスを横断した学習計画策定および学習進捗を把握し、検証を進めたという。
検証結果では、学校・民間教育機関の双方を利用する生徒に、スタディログ一元化の利用意向についてアンケート調査を行ったところ、「学習の振り返りの効率化」と「情報共有の省力化」にメリットを感じており、8割以上が学習記録を一元化する意向を示した。
教育機関向けの調査では、進学支援機能を抱えていない通信制の学校がスタディログの一元化に好意的な意向を示した。その他、民間教育機関では生徒の学校での学習内容を考慮して指導を改善・調整することができることから、約9割の学習塾の先生が好意的な意向を示したという。
3つ以上のデジタル教材とLMSを導入している、クラーク記念国際⾼等学校横浜⻘葉キャンパスと⽯川⾼等学校では、学校内外での学習記録付けやデジタル教材の利用、学習ログに基づく学習指導等を行う実証を実施。実証の開始時と終了時に生徒向けのアンケート調査を実施し、前後での変化を確認したところ「学習計画・記録の習慣化」や「学習への主体的な取組みの創出」といった変化がみられ、生徒の自己調整学習が促進される可能性を示す結果を得ることができたという。
また、先生側ではLMS導入によって「各デジタル教材の活用状況のモニタリング負担軽減」のメリットが得られた他、スタディログが蓄積された場合には「指導改善」「主体性評価の参考資料としての活用」「先生間での情報共有コストの削減」の効果も得られることが明らかとなった。その一方で、手動記録負担の軽減、先生のデータ活用オペレーション面での課題解消、スタディログがない生徒が不利益を受けないための対策等が課題としてあげられた。
スタディプラスは、家庭・学校・学習塾における学習者のあらゆる学びの記録を「パーソナルスタディログ」として一元化・可視化することによって、学校・学習塾の先生はそれぞれのカリキュラムを越えて、ひとりひとりの考えや悩みに寄り添った指導ができるようになり、学習者に個別最適な学びを提供できるようになると考えを述べた。