文部科学省は2023年4月13日、公立学校教員に「残業代が支給されない」という現行の制度について新たな仕組みを作るか等、論点を整理した。割増賃金については労働基準法の規制を考慮したものでなければならないという補足説明もなされた。
教員の待遇改善に向け、文部科学省は2022年12月より「質の高い教師の確保のための教職の魅力向上に向けた環境の在り方等に関する調査研究会」を設置し、これまで計4回にわたり議論を重ねてきた。
4月13日に開かれた会議では、これまでの論点を整理し文書に取りまとめた。論点整理(案)は、「教員の給与」「教員の勤務制度」「学校の働き方改革の推進」「学級編制や教職員配置」「支援スタッフの配置」のあり方についての5項目。
このうち教員の給与については、仮に時間外勤務手当を支給した場合、学校管理職の承認が実務上可能か、また各学校ごとに労働基準法第36条に基づく、いわゆる「36協定」の締結を要することになったときの管理職への大きな負担に留意する必要があると指摘。そのうえで、新たな手当の創設や、一律給料月額の4%を支給とする教職調整額のあり方等について論点を整理した。
また、補足資料として、労働基準法の割増賃金規制のもとでは、割増賃金は単に時間外労働等に対する手当てとしてだけでなく、労働時間の内外を区別した形で支払われたものでなければならないということに留意する必要があるとしている。
文部科学省は今後、調査研究会が示した論点(案)をもとに、給特法の見直し等、中央教育審議会において議論を進めるとしている。