文部科学省は2023年3月8日、中央教審分科会・幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会が審議内容について取りまとめた「学びや生活の基盤をつくる幼児教育と小学校教育の接続について~幼保小の協働による架け橋期の教育の充実~」を公表した。5歳児から小学1年生を「架け橋期」として焦点をあて、教育の充実と生涯にわたる学びや生活基盤の構築に向けた提言をまとめている。
文部科学省は、「生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なもの」として規定される幼児期の教育の質向上と、小学校教育との円滑な接続について専門的な調査・審議を行うため、中央教育審議会初等中等教育分科会の下に「幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会」を設置。すべての子供に学びや生活の基盤を保障するための方策や、各地域において着実に方策が推進されるための体制整備等を中心に審議を行ってきた。
今回、審議まとめとして「学びや生活の基盤をつくる幼児教育と小学校教育の接続について~幼保小の協働による架け橋期の教育の充実~」を公表。幼保小という異なる施設類型や学校種にまたがる5歳児から小学校1年生までの2年間を「架け橋期」と称して焦点をあて、架け橋期の教育の重要性について、幼保小の先生をはじめ、家庭や地域等、子供に関わるすべての関係者に幅広く訴えることを目的としている。
審議まとめでは、具体的な方策として「架け橋期の教育の充実」の他、「幼児教育の特性に関する社会や小学校等との認識の共有」「特別な配慮を必要とする子供や家庭への支援」「すべての子供に格差なく学びや生活の基盤を育むための支援」「教育の質を保障するために必要な体制等」「教育の質を保障するために必要な調査研究等」の6項目を提示している。
「架け橋期の教育の充実」では、幼保小が意識的に協働して「架け橋期」の教育を充実するべく、幼児教育施設では小学校教育を見通して「主体的・対話的で深い学び」等に向けた資質・能力を育み、小学校では幼児教育施設で育まれた資質・能力を踏まえた教育活動の実施を推進。幼保小が協働し、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」等を手掛かりにした架け橋期のカリキュラム作成や、共に振り返るPDCAサイクルの確立等をあげている。
この他、「幼児教育の特性に関する社会や小学校等との認識の共有」では、幼児期における遊びを通した学びの教育的意義や効果の共通認識を図ることや、ICTを活用した教育実践や子供の学びを「見える化」し、好事例等を収集・発信しながら保護者や地域住民の理解を促進することを提案。
「教育の質を保障するために必要な体制等」では、地方自治体における幼保小の担当部局の連携・協働、幼保の担当部局の一元化、 幼児教育センターの設置・活用、幼児教育アドバイザーの配置等を推進。架け橋期のコーディネーターや幼児教育アドバイザーの育成、教職員への研修充実に加え、幼児期の教育の質保障のために必要な人材確保・定着に向け、引き続き幼保職の処遇改善等を実施すること等をあげている。
審議まとめは文部科学省Webサイトで全文を見ることができる。