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教育産業市場、前年度比5.0%増の2兆8,399億円…コロナから回復傾向

 矢野経済研究所は2022年10月11日、教育産業市場に関する調査結果を発表した。主要15分野における国内の教育産業全体の市場規模は、2021年度は2兆8,399億1,000万円。2022年度は2兆8,882億4,000万円と予測され、コロナ禍から回復の兆しをみせている。

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教育産業全体市場規模推移(主要15分野計)
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 矢野経済研究所は2022年10月11日、教育産業市場に関する調査結果を発表した。主要15分野における国内の教育産業全体の市場規模は、2021年度は2兆8,399億1,000万円。2022年度は2兆8,882億4,000万円と予測され、コロナ禍から回復の兆しをみせている。

 教育産業市場に関する調査は、学習塾や予備校、通信教育事業者、資格取得学校、語学スクール、幼児教室、体操教室、研修サービス事業者、eラーニング事業者、学習用教材会社、業界団体、管轄省庁等を対象に実施。調査期間は2022年7月~9月。市場規模は事業者売上高ベース。

 2021年度の教育産業全体の市場規模(主要15分野計)は、前年度比5.0%増の2兆8,399億1,000万円。2020年度に生じたコロナ禍で学習塾をはじめとする各種教室の休塾・休校措置や生徒募集活動の自粛等、事業活動の制限を大きく受けて市場縮小を余儀なくされた。2021年度は感染防止対策を講じての事業運営やオンラインの併用等によるサービス提供体制の確立、コロナ禍でサービス需要の高まりが継続したこと等により市場拡大となった。

 分野別では「家庭教師派遣市場」「語学スクール・教室市場」「学習参考書・問題集市場」の3分野は前年度比でマイナス成長、「幼児向け英会話教材市場」は前年度並となったが、それ以外の分野は前年度を上回った。

 特に、2021年度は学習塾・予備校事業者の多くでコロナ禍のマイナス影響を受けた前年度からの回復がみられた。コロナ禍前の状態よりも事業規模を拡大させる事業者もあり、生徒(保護者)に選ばれる事業者への需要集約による事業者間の2極化がより強まる状況が進行している。また、首都圏をはじめとする大都市圏と、人口減少・少子化の進行速度の早い地域(いわゆる地方)との事業環境の格差がますます拡大。学習意欲が高い傾向にある大都市圏に比べ、対象年齢の子供の減少や地方の高校・大学での定員割れによる“学校過多”の状況から、学力向上や受験・進学に対するマインドがやや低調になっていることもあり、地方における学習塾運営はより厳しい事業環境となっている。

 2022年度の教育産業全体の市場規模は、2021年度から1.7%増の2兆8,882億4,000万円と予測される。依然としてコロナ禍の収束時期の見通しはつき難いものの、Withコロナに対応した事業展開によって市場は堅調に推移すると見込まれる。

《畑山望》

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