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教員の労働時間、今なお過労死レベル…連合総研

 連合総研は2022年9月7日、「教職員の働き方と労働時間の実態に関する調査」の中間報告を公表した。公立小中高教職員の勤務日の在校等時間は減少したものの、自宅仕事時間が増加。1か月の労働時間は、依然として所定労働時間を大幅に上回り、過労死レベルに達していた。

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労働時間/在校等時間・自宅仕事時間、1週間・1か月の労働時間
  • 労働時間/在校等時間・自宅仕事時間、1週間・1か月の労働時間
  • 労働時間/出退勤時刻および休憩時間(前回調査との比較)
  • 教員の負担感
  • 「働き方改革」を進めるために教員が行うべきだと思うこと
  • 教員になりたい人から相談を受けた場合、教員の仕事を勧めるか

 連合総合生活開発研究所(連合総研)は2022年9月7日、「教職員の働き方と労働時間の実態に関する調査」の中間報告を公表した。公立小中高教職員の勤務日の在校等時間は減少したものの、自宅仕事時間が増加。1か月の労働時間は、依然として所定労働時間を大幅に上回り、過労死レベルに達していることが明らかになった。

 「教職員の働き方と労働時間の実態に関する調査」は、教員の長時間勤務の改善に向けた実態を把握するため、小・中学校、高等学校、特別支援学校にフルタイムで勤務し、授業をもっている教員を対象にインターネットで実施した。調査期間は2022年5月31日~6月30日。9,214人の有効回答を得た。

 勤務日の在校等時間の平均は11時間21分。前回2015年調査時の11時間29分より8分減ったものの、高止まりしている。自宅仕事時間46分を加えた勤務日の労働時間は12時間7分。1日の所定労働時間7時間45分を4時間22分上回っている。

 週休日の在校等時間は平均2時間6分、自宅仕事時間は1時間18分。週休日の労働時間は3時間24分で、勤務日と同様に高止まりの状況にある。

 1か月の労働時間は293時間46分。月間所定労働時間の170時間30分(7時間45分×6月の勤務日数22日)を123時間16分オーバー。時間外勤務は、上限時間である「月45時間」を大幅に上回り、過労死ラインを越えている。

 2015年調査と比較すると、在校等時間は勤務日で8分、週休日で36分減少したが、自宅仕事時間は勤務日で3分、週休日で4分増加。連合総研は「時間外勤務を減少させるため自宅で業務を行う実態がうかがえる」と分析している。

 最近の教育改革や学習指導要領の改訂にともなう業務の負担感については、小学校で「外国語と道徳の授業準備と評価」(86.5%)と「プログラミング学習の指導準備」(85.1%)が8割を超えた。中学校では「観点別学習評価に関する基準作成等」(79.6%)や「外国語と道徳の授業準備と評価」(78.3%)が多かった。高校で「観点別学習評価に関する基準作成等」を負担に感じている教職員は86.8%に達した。

 学校の働き方改革を学校現場で進めるため、優先的に取り組むべき課題については、「(登下校指導、学校徴収金の外部委託等)教員の業務の役割分担の見直し」が77.3%ともっとも多く、ついで「支援スタッフの活用」49.6%。業務の外部委託や支援スタッフの活用等、教員業務の負担軽減につながる取組みへの期待が大きかった。

 また、教員になりたい人から相談を受けた場合、教員の仕事を「勧めない」と回答した人は57.6%と、過半数を占めた。勧めない理由は多岐にわたり、「業務量が多い」「勤務時間が長い」「精神的負荷が大きい」の3項目は7割を超えた。一方、教員の仕事を「勧める」という人も41.8%おり、理由は「働きがいがある」85.4%が最多だった。

 連合総研は、中間報告を受けて「教員の労働時間は、ごくわずかに縮減されている。しかしその実態は、まだ過労死レベルを抜け切れていない」と指摘。働き方改革が実際の労働時間縮減に結びつかない要因に「教員の業務の中核である部分の負担が縮減されない」「『学校の業務だが必ずしも教員が担う必要がないもの』『教員の業務だが負担軽減が可能なもの』について、ほとんど改善がみられない」をあげている。


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