学校に寄せられるさまざまなクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第96回のテーマは「ネットのトラブルに巻き込まれた」。
トラブルを未然に防ぐ対応
子供がネット上でトラブルに巻き込まれたという連絡(相談)を学校が受けることがあります。ネット関係ではさまざまなトラブルがあります。こういったネットでのトラブルは、発生してからの対応が少し難しいです。小学校等では、スマホは自宅にあることも多く、学校では事実の把握がきちんとできない状況で子供と関わらなければならないこともあります。そういったこともあり、トラブルが起こらないような事前の対応がより大切になります。これは他のトラブルにも言えることなのですが、ネットのトラブルではよりそういった面が強いです。
ネットでのトラブルが発生するのは、ほとんどの場合が家庭で購入したスマホ/タブレット/PCを用いてのことです。学校が配布したGIGA端末を用いてのトラブルはわずかとなっています。これは「GIGA端末」と「家庭で購入した機器」のセキュリティの差によるものと言えます。もし家庭で購入したスマホ等の機器のセキュリティレベルをGIGA端末と同じ程度にすれば、若干使いにくくはなりますが、多くのこういったトラブルは防ぐことができると思われます。
デジタル機器を使用するデメリットを伝える
学校は、保護者に対して、子供がデジタル機器を使用する「メリット」「デメリット」、特に「デメリット」の部分をもっと伝えていくべきでしょう。スマホ等を子供が持つことの保護者の立場からのメリットとは、「子供とすぐに連絡が取れる」「居場所がわかる」等でしょう。逆にデメリットとしては「不適切な動画やサイトの視聴」「ゲームの課金」「SNSトラブル」等があります。「不適切な動画やサイト」に関しては、猥褻なもの等をイメージしやすいですが、それ以外にも多くのものがあります。たとえば、「自殺の仕方」「人の殺し方」「薬物の入手法」等、多岐にわたります。以前の紙を中心として情報文化であれば、何らかのフィルターが掛かり、子供が情報にたどりつくことができなかった情報に、今の子供はスマホ等を用いて容易に触れることができます。親はスマホ等のそういったデメリットをしっかりと認識することが大切となります。
どの年齢で、どのような機種を子供に持たせるのか、どのようなセキュリティにするのか等は家庭の判断です。家庭のスマホ/PCのケアは、現代の社会においてとても重要なテーマです。家庭のスマホ等でのトラブルは、学校が把握しにくいもので、基本的には親の責任の範疇です。自治体や学校が「スマホ使用のルール」のようなものを制定していることも多いです。そういったものを自宅で運用していくのは子供と保護者です。そういったものはどうしても形骸化しやすい傾向にあります。
ただ単に「スマホが悪い」という問題ではないと思います。今の子供達は生きていくうえで、スマホを含めた情報機器と仕事においてもプライベートにおいても、関わることが必須です。そういったものとの適切な関わり方を子供が知る(学ぶ)ことは重要です。学校においても可能な限り、そういったことを学ぶ場を設定していきたいです。それと共に保護者に向けて必要な情報発信をしていきたいです。こういった内容は、保護者の協力なしには意味のある活動にはなり得ません。これまで以上に学校と家庭が協力していくことが子供の健全な育ちにおいてとても重要になっていくでしょう。
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