学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第120回のテーマは「子供同士でトラブルがあったことを当事者の保護者に情報共有してほしい」。
子供はトラブルから学ぶ
学校生活では子供同士でトラブルが発生することがあります。学校では、1人で生活している訳ではなく、何人もの人が生活しているので、そういったトラブルが発生するのは自然なことです。学校の役割の1つは、そういったトラブルから色々なこと(解決の方法等)を子供が学んでいくことにあります。
学校で子供のトラブル(ケンカ、いじめ、器物破損等)があった際、そういった情報をあまり広めることなく問題を収めたいという心理が教員に働くことがあります。これは、学級担任の立場でもありますし、管理職の立場でもあり得ます。いじめの発生件数の調査等において、あまり積極的にいじめの件数をカウントしなかった事例等がそれを物語っています。いじめの発生件数が少ない程、良いとされていたこと等が影響していました。また、現在のネット社会では、トラブルが広まると、ネット等に情報が拡散し、収集がつきにくくなる可能性があること等も関連しているでしょう。
関係者と情報共有し対応していく
学校におけるトラブルだけでなく、一般論として、何らかの問題が発生した場合、できる限り早く関係者と情報共有し、対応していくことが望ましいことでしょう。今回のケースでは、関係者とは、学校の管理職や保護者を指します。私も小学校の学級担任をいていたころ、クラスの子供同士のトラブルを何とか一人で対応しようとしてしまったことがあります。結果としてはうまくいかないことが多かったように記憶しています。
トラブルは、時間が経つ程に問題の深刻さが増していきます。保護者に伝える場合も、遅くなればなる程、不信感も強くなる可能性があります。学校(教員)と家庭(保護者)の関係は、普段から良いことも悪いことも情報共有ができるような間柄であることが望ましいです。そういった関係が構築されていれば、子供同士のトラブルが発生した際も、スムーズに状況共有ができるはずです。
実際に保護者から「子供同士でトラブルがあったことを当事者の保護者に情報共有してほしい」という連絡があった場合、保護者は何らかの不満や不安を抱えていることが予想できます。その時点でわかっていることを情報共有していくことが良いでしょう。
保護者(多くの場合は被害者の親)から「子供同士でトラブルがあったことを当事者の保護者に情報共有してほしい」という連絡があった場合、2つのことが考えられます。1つは「トラブルを相手(加害者)の親にもきちんと伝えてほしい」という意味です。もう1つは「トラブルの内容を自分(被害者)の親にきちんと伝えてほしい」というものです。どちらも共通しているのは、先ほども書いたように不満や不安等を抱えているということです。保護者の訴えはどういったことを意味しているのかを考え、対応していきたいです。
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