公立小中学校施設は、建築後25年以上を経過した施設が保有面接の約8割を占める等、老朽化が深刻になっている。そのため、児童生徒の安全を脅かす不具合等の発生状況について2021年4月1日~2022年3月31日、都道府県および市区町村等が設置する公立小中学校(中等教育学校の前期課程を含む)と義務教育学校の施設を対象に実施した。
公立小中学校施設の老朽化面積(築45年以上の改修を要する面積)は、前回の2016年度調査時の1,834万平方メートルから、2021年度は3,338万平方メートルと、倍近くに増加した。
ひび割れや破損、剥離、腐朽等による仕上材や部品の落下等、建物の老朽化が主因で発生した児童生徒等の安全を脅かす不具合等は、前回調査より9,648件減少したものの、全国で2万2,029件発生していた。
不具合の内訳は、「消防用設備等に動作不良・故障等が発生」8,751件、「床材に浮き・はがれが発生」2,406件、「軒裏のモルタル片等が落下」1,211件、「照明器具・コンセント・分電盤等に漏電が発生」1,109件等。安全面の不具合の中には、40cmのコンクリート片が教室に落下した事例もあった。
文部科学省は「引き続き、日常的な点検や修繕を行い、建物を健全な状態に保つための改修を適切なタイミングで実施し、致命的な損傷の発現を事前に防ぐ必要ある」と説明。老朽化した建物は、ガラスの破損や内外装材の落下等、非構造部材の被害が拡大する可能性が高いため、安全確保の観点から、非構造部材の落下防止を含めた老朽化対策の取組みを支援するとしている。
一方、公立学校施設における構造体の耐震化や屋内運動場等の吊り天井等の落下防止対策については、2015年度でおおむね完了したが、一部完了していないことから、その後の取組状況について2022年4月1日現在でフォローアップ調査を実施した。調査対象は、公立の幼稚園(幼保連携型認定こども園含む)、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校の建物。
構造体の耐震化率を学校種別にみると、小中学校99.7%、幼稚園97.7%、高等学校99.4%、特別支援学校99.9%。すべての校種で前年度より改善した。耐震化が未実施の小中学校の建物は、前年度から156棟減少し、288棟となった。
屋内運動場等の吊り天井等の落下防止対策実施率は、小中学校99.5%、幼稚園100%、高等学校99.0%、特別支援学校99.8%。屋内運動場等の吊り天井等以外の非構造部材の耐震対策実施率は、小中学校66.1%、幼稚園69.5%、高等学校54.7%、特別支援学校66.5%であった。