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日本の64%の授業、教員の問いかけの質が比較的高い傾向

 国立教育政策研究所は2021年4月21日、「OECD グローバル・ティーチング・インサイト:授業ビデオ研究-報告書のポイント」を公表。日本の64%の授業では、比較的高度な問いである、要約すること、規則性・手順・公式の適用を求める問い等に力点が置かれる傾向があった。

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 国立教育政策研究所は2021年4月21日、「OECD グローバル・ティーチング・インサイト:授業ビデオ研究-報告書のポイント」を公表。日本の64%の授業では、比較的高度な問いである、要約すること、規則性・手順・公式の適用を求める問いや、分析の問いに力点が置かれる傾向があった。

 グローバル・ティーチング・インサイトは、経済協力開発機構(OECD)による指導と学習に関する国際調査の新しい試みで、日本における調査は国立教育政策研究所が実施を担当している。授業ビデオの分析を行い、指導実践や学習状況について客観的なデータを得ることが特徴。参加国は日本を含む8か国・地域で、二次方程式を指導する数学教員とそのクラスの生徒(日本では中学校第3学年)を対象としている。

 日本では、静岡市、熊谷市、戸田市の全公立中学校と、関東地域(1都6県)および静岡県の国立大学附属中学校を調査対象とし、最終的に73校、89人の教員が参加。1人の教員につき、調査対象単元における授業を2回撮影、指導案等の授業資料を収集し、学習前と学習後にそれぞれ1回ずつ、教員質問紙、生徒質問紙、数学のテストを配付し、回答を得た。

 OECDによる国際報告書では、「授業運営」「社会的・情緒的支援」「教科指導」の計3つの領域で分析し、各領域の構成要素のスコアを1~4の4段階で評価している。日本における各領域の構成要素全体の平均スコアは、「授業運営」が3.81、「社会的・情緒的支援」が3.26、「教科指導」が2.24で、いずれも他国を抑えて1位だった。

 「教科指導」領域における構成要素「問いかけ」のスコアごとのクラス数の割合をみると、日本の64%の授業(スコア2.5以上に相当)では、比較的高度な問いである、要約すること、規則性・手順・公式の適用を求める問いや、分析の問いに力点が置かれる傾向があることがわかった。他国におけるスコア2.5以上の授業の割合は、ドイツが70%、イギリスが54%、チリが21%、スペインが20%、中国が19%、メキシコが18%、コロンビアが1%だった。
《桑田あや》

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