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共通テスト、手数料の値上げ分「学生に転嫁やめて」

 大学入試センターが大学入学共通テストを利用する大学への成績提供手数料の値上げを検討していることを受け、文部科学省の萩生田光一大臣は2021年4月13日、「学生に転嫁するのはやめてもらいたい」と語った。成績提供手数料の値上げ分を受験料に上乗せしないよう強調した。

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萩生田光一文部科学大臣の会見
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 大学入試センターが大学入学共通テストを利用する大学への成績提供手数料の値上げを検討していることを受け、文部科学省の萩生田光一大臣は2021年4月13日、「学生に転嫁するのはやめてもらいたい」と語った。成績提供手数料の値上げ分を受験料に上乗せしないよう強調した。

 大学入試センターは4月9日、現状の財政構造のままでは大学入学共通テスト(以下、共通テスト)の継続的・安定的実施が困難とするワーキングチームの議論のまとめを公表。共通テスト成績送付に要する事務手続き費用として、入学志願者1人1回につき750円を大学から徴収している「成績提供手数料」を値上げする方針を示している。

 4月13日に会見した萩生田大臣は、「大学入試センターの自己収入は約9割が検定料収入であるため、今後18歳人口の減少にともない、その収入も減少していくことが見込まれていることから、安定的な運営を図っていくための財源の確保が大きな課題であると認識している」と説明。「今回のコロナ禍での大学入試を考えてみても、大学入試のセーフティーネットとして共通テストが果たす役割は今後ますます高まるものと考えている」としたうえで、共通テストの安定的な実施のため、成績提供手数料や試験実施経費の見直しに理解を示した。

 また、試験問題の作成や調査研究など、共通テストの着実な実施のため、文部科学省において2015年度以降、補助金を継続して投入している説明し、「こうした予算については今後も引き続き予算確保に努めてまいりたい」と述べた。

 成績提供手数料に関しては、「共通テストの成績のみで合否判定を行っている大学では、学生の募集活動や合否判定のための資料作成など、選抜を実施する手数料として受験生から相当額の検定料を徴収しつつ、その中から大学入試センターに対して750円の成績手数料のみを納めているという実態がある」と指摘した。

 さらに「何の準備もしないで、よそでやってくれた試験で合否を決定するのにその手数料は750円で済むとすれば、かなり利率はよいのではないか」とも語り、手数料の値上げについて「それをまた学生に転嫁するのはやめてもらいたい」と言及。「750円で今までは提供してきたわけだから、これが1,200円になったといって、受験料がまたさらに2,000円も3,000円も値上がることがないように」と強調し、成績提供手数料の値上げ分を受験料に上乗せしないよう呼び掛けた。
《奥山直美》

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