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17年目の現役教員、松下隼司先生が作った絵本「ぼく、わたしのトリセツ」

 アマゾンなどのWeb書店で手に入れることができる絵本「ぼく、わたしのトリセツ」が人気だという。この絵本の出版の経緯や、この本に込めた思いを、作者の松下氏に聞いた。

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「ぼく、わたしのトリセツ」のチラシ
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 アマゾンなどのWeb書店で手に入れることができる絵本「ぼく、わたしのトリセツ」が人気だという。

 絵本の主人公は、いつも怒られてばかりの「ぼく」と「わたし」。その主人公たちが先生に「自分の取扱説明書」を突きつけるという。先生をもっと好きになりたい子どもたちの物語が紡がれており、2021年2月9日午後3時現在、アマゾンのカスタマーレビューは63件。教員からと思われる感想がいくつも寄せられている。

 絵本の作者は松下隼司氏(絵はkanoaki氏)。1978年生まれの2児の父であり、現役の小学校教諭だ。この絵本は現在、書籍の内容をデジタルデータで保存し、注文が入ってから印刷・製本する「オンデマンド版」にて発売されてる。売れ行きが良いことから書店販売の準備が始まったほか、海外出版社からも外国語版の出版オファーがあるといい、今後は海外展開も検討中だという。

 今後が楽しみなこの絵本の出版の経緯や、この本に込めた思いについて、作者の松下氏のコメントを紹介する。

松下氏コメント



 私は、2児の父親で、小学校の教師(17年目)です。家でも職場でも、子どもとほとんど一緒にいます。

 私は、すごく怒りっぽい性格です。「すぐ怒る」「強く怒る」「ネチネチ怒る」「以前のことを思い出してまた怒る」の4つがそろっていました。家でも職場でも、子どもを怒ってばかりでした(今はだいぶマシになりました)。

 怒ることで、子どもにとってプラスの効果があり、子どもの成長につながっていたらいいのですが、正直、私はそうではありませんでした。ただ威圧しているだけでした。自己満足でした。怒れば怒るほど、あとで後悔しました。子どもの心が自分から離れていくのを感じていました。「このままやったら、アカン」と思い、子どものトリセツ本(子どもへの接し方の本)を読み漁りました。

 時間とお金をかけて、アンガーマネジメントの資格をとりました。脳科学、行動科学、心理学の勉強もしました。でも、実際に子どもを目の前にすると、本や講義で学んだ正論や常識が通用しませんでした。今考えると、本や講義で学んだことに子どもを当てはめようとしたから、うまくいかなかったのだと思います。

 子どもはひとりひとり違います(大人もです)。さらに、1人の人間でも、時間や場所によって気持ちが違います。調子が良いときと悪いときがあります。年齢などの発達段階も違います。

 それまでの自分が「自分目線」だけでしか、子どもを見ようとしていなかったと気付きました。また、子どもへの接し方の本はたくさんありますが、子どもに対応する、大人側の目線のものがほとんどです。そこで「子ども目線のトリセツ本」をつくりたいと思いました。

 子どもは何を求めているのかと言うと、「楽しさ」だと思います。楽しさを求めて、いろいろないたずらややんちゃなことをします。そうしたときに「怒らずに、ぼくにはこうやって」「私には、こうして」と、子どもから、大人へのトリセツ要望書を満面の笑顔で渡したら面白いなと思い、その要望書を受け取る大人も笑顔になる本をつくりたいと思いました。文字だけの本より、絵本のほうが面白いなと。絵本だったら理屈っぽくなりませんし、子どもも大人も気軽に楽しめるのもいいな、と。

 この絵本をきっかけに、子どもと過ごす時間がさらに楽しく感じてもらえたら嬉しいです。
《鶴田雅美》

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