教育業界ニュース

【クレーム対応Q&A】受験勉強が大変なのに学校の宿題が多く困る

 保護者や地域からのクレームに先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまなクレームに対応する際のポイントを聞いた。第9回は「受験勉強が大変なのに学校の宿題が多く困る」。

事例 その他
画像はイメージ
  • 画像はイメージ
 学校に寄せられるさまざまなクレーム。保護者や地域からのクレームに先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまなクレームに対応する際のポイントを聞いた。第9回は「受験勉強が大変なのに、我が子のレベルに合っていない学校の宿題が多く困る」。

コロナ渦で変わっていく「宿題」


 現在、流行している「新型コロナウイルス(covit-19)」は、人の暮らしのさまざまな部分に影響を与えています。学校においても、その影響を受け、仕組みなどが変わりつつあります。学校において、これから変わっていく可能性のあるものの1つが「宿題」です。

 一斉休校の際、それぞれの学校で学びを止めないための対応がなされました。もっとも一般的だったものが「紙もの(プリント)」の宿題を大量に配布するという形でした。急に始まった休校だったので、その時点での取組みとしては妥当なものだったのだと思います。しかし、その成果について調査した研究では、思ったような成果が上がっていなかった場合が多いとされていました。今回の状況は特殊だったのですが、単に紙(プリント)を渡して、家庭任せで取り組むことでは、子どものより良い育ちには繋がりにくいのだと思います。こういった機会に、改めて「宿題の意義」について考えるチャンスだと思います。

1人1台端末により、個に応じた学びへ


 新型コロナウイルスによって「1人1台端末」が日本中で加速して進められています。そういった流れの中で宿題は「個別対応」に近いものになっていくのではないかと私は考えています。現在のように一斉に同じものに取り組むというものではなく、それぞれの子どもの状況に合わせたものに取り組むものです。PCがあることによって、個に応じたドリル的な取り組みが容易になります。それぞれが苦手な部分を繰り返し取り組むものです。

 それぞれで取り組む内容が違う形になり、具体的には現在「自主学習」などと呼ばれるものを中心としたやり方になっていくのではと思います。「自主学習」は、呼び方は色々とあるのですが、その日に取り組む宿題は自分で考え、取り組んでいくというものです。そういった取り組みにすることで、個人で取り組むものに「幅」を持たせることができるようになります。

受験勉強も宿題として認めてあげる


 ところで、実際の場面での宿題に関するクレームでは、「中学受験」が関係するものがあります。受験勉強の時間との兼ね合いにおいて、学校の宿題を「減らしてほしい」「やらなくても良いか」というものです。特に6年生で多い傾向にあります。中学受験に関しては、地域差があります。都市部で交通機関の便利なエリアでは受験者は多くなりますし、逆に地方部で受験できる中学校が少なかったり、交通手段が不便だったりするエリアでは受験生は少なくなります。

 「中学受験があるので学校の宿題を減らしてほしい」というケースでは、自主学習で受験に向けた難しい問題に取り組んでいるものも宿題の一部として認めてあげることで解決に繋がります。「学校の勉強と受験の勉強は別物」という考え方もあります。ただしっかりと勉強をしていることや学校が出した宿題が簡単すぎる(時間の無駄と感じてしまっている)という事実があります。そういったことを考えると学習効果の高くないドリル的な宿題を一斉でやらせるよりも自主学習的なもので受験の勉強なども認めてあげるというやり方が良いのではないかと思います。逆に勉強が苦手な子どもは、その子どもが苦手な部分に関してじっくりと取り組むことができるようになります。

 もちろん、状況によっては、全員で共通のものを宿題として出す場合もあると思います。今回書いていることは、学年や地域の状況によっても違ってくるものです。学年が低くなれば、中学受験への負担の割合は少なくなってきます。また、中学受験以外にも、週末のスポーツなどが似たものとして考えられます。運動などに一生懸命取り組んでいる子どもは週末に大会などが行われることがあります。そういったものと宿題との兼ね合いの問題があります。状況を見ながら、スポーツに取り組んだことを自主学習の一部として認めてあげることで、運動の後に無理をしながら宿題に取り組むということも減るのかもしれません。

鈴木 邦明(すずき くにあき)
平成7年 東京学芸大学教育学部 小学校教員養成課程理科専修卒業。平成29年 放送大学大学院文化科学研究科生活健康科学プログラム修了。神奈川県横浜市、埼玉県深谷市で計22年、小学校教諭として勤務。現場教員として子どもたちの指導に従事する傍ら、幼保小連携や実践教育をテーマとする研究論文を多数発表している。こども環境学会、日本子ども学会など、多くの活動にも関わる。平成29年4月からは小田原短期大学特任講師、平成30年4月からは帝京平成大学講師として、子どもの未来を支える小学校教諭、幼稚園教諭、保育士などの育成や指導に携わる。
《鈴木邦明》

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top