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9月入学、教員増員に最大1兆5,387億円…文科省試算

 9月入学(秋季入学)への移行に伴い、公立小中高校教員の増員による影響額が最大約1兆5,387億円となることが、文部科学省の試算結果から明らかになった。大学の減収額は、国公私立あわせて約1兆518億円にのぼるという。

教育行政 文部科学省
秋季入学に関する課題への対応策と必要な考慮点等について(教職員の増員)
  • 秋季入学に関する課題への対応策と必要な考慮点等について(教職員の増員)
  • 秋季入学に関する課題への対応策と必要な考慮点等について(学校施設)
  • 秋季入学に関する課題への対応策と必要な考慮点等について(高等教育機関の授業料収)
  • 秋季入学に関する課題への対応策と必要な考慮点等について(追加的な教育費用負担)
  • 2021年度以降の新入生となる児童生徒の範囲のパターンの例
  • 2021年度以降の新入生となる児童生徒の範囲のパターンの例
 9月入学(秋季入学)への移行に伴い、公立小中高校教員の増員による影響額が最大約1兆5,387億円となることが、文部科学省の試算結果から明らかになった。大学の減収額は、国公私立あわせて約1兆518億円にのぼるという。

 文部科学省は、秋季入学への移行で生じる課題を想定しておくため、関係省庁から聴取し、影響額を試算。9月1日を学年の始期とし、2021年度以降の小学校の新入生の範囲を9月~翌年8月生まれとする場合について、「1年での一斉実施(パターン1)」「5年での段階的実施(パターン2)」を提示した。ただし、秋季入学の案は、このパターンに限定するものではないという。

 移行期における約40万人の増加に対応するため、公立学校の教員の延べ増員数は、パターン1で小学校が約10万9,000人、中学校が約6万1,000人、高校が約5万3,500人、パターン2で小学校が約9万4,600人、中学校が約5万2,600人、高校が約4万6,400人と試算。増員による人件費は、パターン1で小中学校が約1兆1,265億円、高校が約4,122億円の計1兆5,387億円、パターン2で小中学校が約9,765億円、高校が約3,570億円の計1兆3,335億円にのぼるとした。

 移行期における児童生徒数の増加に対応するためには、教室不足が発生する恐れがある。校舎の新増築などに伴う影響額は公立分のみで、パターン1で小学校が約1,336億円、中学校が約1,241億円、特別支援学校が約530億円、高校が約659億円、パターン2で小学校が約1,432億円、中学校が約773億円、特別支援学校が約432億円、高校が約401億円。

 秋季入学へ完全に移行するまでの間、高等教育機関では毎年4~8月の間、いずれかの学年の学生が不在となり、その間に授業料収入を得ることができなくなる。減収額については、私立大学で約9,326億円、国立大学で約876億円、公立大学で約316億円の計1兆518億円と試算した。

 このほか、秋季入学による教育機関の延長に伴い、生徒や保護者にも追加的な教育費用が発生する。追加的な教育費用負担額は、学習費総額で約2兆4,939億円。このうち、学習塾や習い事、図書費などの学校外活動費を除いた費用は約1兆2,173億円になるという。
《奥山直美》

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