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【クレーム対応Q&A】休み時間にGIGA端末を使わせないで

 クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまなクレームに対応する際のポイントを聞いた。第107回のテーマは「学校の休み時間にGIGA端末を使わせないでほしい」。

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 学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からのクレームに先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまなクレームに対応する際のポイントを聞いた。第107回のテーマは「学校の休み時間にGIGA端末を使わせないでほしい」。

休み時間にGIGA端末を
どのように使うのか

 GIGAスクール構想により日本中の学校でGIGA端末(タブレット/PC等)を使う活動が一般的になっています。そういった中で問題となることの1つが「休み時間にGIGA端末をどのように使うのか」ということです。

 GIGA端末は子供にとって魅力的で刺激的な道具です。学習において効果的に用いることで、知らないことを知ることができますし、自分の考えを容易に発信することもできます。思考をまとめていくことにおいても有用な道具です。とても優れた道具なのですが、注意点もあります。それは「遊びでも使えること」です。

 「遊びでも使えること」とは、具体的にはYouTube等にある楽しい動画を見ること、ゲームをすること等です。学習に関することから外れ、子供が遊びにつながることをしてしまう場合があります。どこまでが「学習」で、どこからが「遊び」なのかの線引きが難しい場合もあります。

 ゲーム等に取り組むことも同様です。最近は、質の高い「学習ゲーム」も開発されています。一昔前であれば、九九を覚える際、「くいちがく、くにじゅうはち、くさんにじゅうしち…」と唱えるやり方が一般的でした。最近は学習アプリを活用するやり方もあります。九九の学習のための学習アプリは、間違えた所を繰り返し出題する等の機能があり、良い学びとなります。そのようなゲームにおいても、どこまでが「学習」で、どこからが「遊び」なのかの線引きが難しいです。

 そういったことを踏まえると一概に「休み時間にはGIGA端末の使用禁止」というのは適切なやり方ではないでしょう。全体指導で、どういった使い方が良いのか等を年齢や状況に応じて伝えていくことが大切です。それと共に個別に関わっていく必要もあるでしょう。

 自治体によっては、GIGA端末の設定で、一律にYouTube等に接続できないようになっている場合もあります。不適切な動画やサイト等につながらないようにフィルターをかけることは必要だと思います。ただ一律にYouTube等に接続できないというやり方は現在の社会状況を踏まえると適切ではないのだと私は思います。

端末との付き合い方を学ぶのが大事

 現在の子供達は、YouTubeを含め、さまざまな情報に触れながら社会において生きていくこととなります。色々な課題がある中で自分の判断で「何をする」「何をしない」のかを選んでいく必要があります。そういった「付き合い方」を学ぶ機会の提供が学校においては大事なのではないかと思います。一律に禁止をすることは、その時点ではトラブルを回避することになります。ただ、それは「問題の先送り」であり、その「禁止の状況」が無くなることで、逆に大きなトラブルとなってしまう可能性があります。子供の成長や幸せを考えるのであれば、その時だけ問題が無ければ良いということではないでしょう。しっかりと子供の成長を長いスパンで考え、対応していくことが大切でしょう。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談の他、保護者が学校へ伝えた相談等、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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