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【相談対応Q&A】GIGA端末を持ち帰りたい

 クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第102回のテーマは「GIGA端末を自宅に持ち帰りたい」。

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 学校に寄せられるさまざまな相談。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第102回のテーマは「GIGA端末を自宅に持ち帰りたい」。

自治体による差が発生

 新型コロナウイルスは人々の暮らしに大きな影響を与えました。マイナス面もあったのですが、プラスの面があったことも事実です。日本の学校において、GIGAスクール構想によりタブレット/PCの普及が一気に進んだことは子供の育ちにおいては大きなプラスであったと私は思っています。

 GIGAスクール構想においては、自治体による差が生じています。まずは配布の段階でさまざまな差(違い)が生じました。GIGAスクール構想はコロナの流行前から国が推奨していた政策です。日本においてコロナが大きな問題となり始めた2020年春以前にGIGA端末の配布が済んでいる自治体もありました。渋谷区や熊本市等です。そういった自治体では、コロナへの対応においても、タブレット/PCを有効活用しながら取り組んでいました。その他の自治体の導入に関しては、導入済みの自治体の成功例を目にし、多くの自治体が急ピッチで導入への対応を行いました。

 2022年の秋の時点で問題となっていることは「GIGA端末の活用」についてです。積極的な活用ができている自治体や学校がある一方、そうでない自治体や学校があることも事実です。授業においてもそうなのですが、家庭への持ち帰り等でも差が出ています。文科省はこの件に関して2021年7月3日付けで、次のような通知を出しています。

 「GIGAスクール構想の下で整備された1人1台端末の積極的な利活用等に向けた夏季休業期間中における取組について」

 「・・・1学期中におけるICT活用の現状や成果・課題等を確認いただくとともに、『GIGAスクール構想の下で整備された1人1台端末の積極的な利活用等について』(令和3年3月12日文部科学省初等中等教育局長通知)の別添1「GIGAスクール構想本格運用時チェックリスト」(以下、「本格運用時チェックリスト」という。)等を活用しながら、夏季休業期間中において集中的に取組を進め、2学期以降に向けた準備を進めていただくことが重要です。」

GIGA端末は家庭で活用していくことが望ましい

 文科省の通達にもあるように長期休業中も含め、家庭で活用していくことが望ましいとされています。そのためにはいくつかのことを検討する必要があります。その1つが「電源の扱い」です。教室に常に置いておくことを想定すると電源は教室の中(保管ボックス等)にある形となります。そうなると家庭に持って帰る際の電源が問題となることがあります。週に1回か2回に持ち帰るというやり方の場合がそれにあたります。

 家庭に毎日持ち帰ることであれば、充電は家庭で行うというやり方ができるようになります。電源コード等を家庭に預けることで対応ができます。家での充電をし忘れた場合等は学校で個別に対応することで対処することができます。実際に充電コードは家庭に置くというやり方をしている自治体や学校は多いです。GIGAスクール構想の趣旨等を考えるとGIGA端末は家庭でも使えることが望ましいでしょう。

 GIGA端末は多額の公費が投入されています。文科省の発表では、令和元年度補正予算(2,318億円)、令和2年度第一次補正予算(2,292億円)を合わせると4,610億円となっています。初期の導入の段階で非常に大きな税金が使われています。GIGA端末は、そういった経緯で導入されているものです。そういったことを考えると、最大限に有効活用していく必要があるでしょう。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談の他、保護者が学校へ伝えた相談等、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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