文部科学省は2026年8月31日、次期学習指導要領等に向けた審議まとめ(素案)を公表した。AIをはじめとするデジタル技術の急速な進展や、子供たちの多様化などを踏まえ、情報活用能力の抜本的な向上、柔軟な教育課程の実現、学習評価の見直しなどを盛り込んだ。2026年度末の改訂を予定し、2028年度から一部先行実施、2030年度以降に小・中学校、高等学校で順次、全面実施する。
次期学習指導要領では、情報活用能力をすべての教科等の学びの基盤として位置付け、その基礎を計画的に育成したうえで、各教科等の学習で活用する考えを示した。小学校の総合的な学習の時間には「情報の領域」、中学校には「情報・技術科」を設け、情報活用能力を育成するための学習を充実させる。各教科では、プログラミングやデータ活用などの内容が新教科・領域に移行・精選されることで、それぞれの教科固有の学びを深めることを目指す。
中学校では、家庭科を独立の教科としたうえで、現在の技術分野に適切な時数を確保した「情報・技術科」を創設する。新教科の指導体制を充実させるため、オンラインによる免許法認定講習の強化などによる免許取得を促進するとともに、教員の指導力向上を図る。
外国語教育では、教師やALTによる指導とAIの活用を効果的に組み合わせた指導を想定。小学校では、すでに5・6学年の外国語科で「読むこと」「書くこと」が導入されているが、音声を中心とした外国語活動からの慣れ親しみを含め、中学校の外国語科へ円滑に接続できるよう指導する。高校では、「英語コミュニケーション」を「英語コミュニケーション(総合)」に、「論理・表現」を「英語コミュニケーション(発信)」に見直すほか、各学校種で扱う話題の難易度を整理し、学年段階の目安を示す方向とした。
国語科では、言葉を手がかりに、話や文章を理解して考えを深めたり、自分の考えを表現したりする力を育てる教科として再構造化する。小・中・高等学校を通じて目標や「見方・考え方」を一貫して示すほか、「話す・聞く」「書く」「読む」の学びをつなげる。
学習評価についても見直す。日々の授業では、児童生徒の学習状況を把握し、指導や学習の改善につなげる「形成的評価」を重視し、成績につなげる「総括的評価」は適切な場面に精選する。「知識・技能」「思考・判断・表現」は従来どおり目標に準拠した観点別評価を行う一方、「学びに向かう力・人間性」については、各教科等の「思考・判断・表現」の観点別評価に「○」を付す方法と、総合所見欄への記述を組み合わせる評価方法を導入する。
さらに、学校や児童生徒の実態に応じて授業時数を柔軟に調整できる「調整授業時数制度」を創設する。対象となる教科等について、標準授業時数を一定の範囲で下回ることを認め、すべての対象教科等で上限(15%程度)まで調整した場合、小学校では年間138コマ、中学校では128コマ程度、標準を下回ることが可能となる。これにより生み出した時間を、個別の学習支援や探究的な学びなどに活用し、学校に「余白」を生み出すことで教育の質の向上につなげる。
このほか、多様な個性や特性、背景を有する子供に対応する柔軟な教育課程編成の促進や、教師が学習指導要領を効率的に理解・活用し、質の高い授業づくりや働き方改革につなげられるよう、「デジタル学習指導要領」を開発する方向なども示している。














