日本経済団体連合会(経団連)は2026年5月11日、「科学技術立国戦略」に関する提言を公表した。スーパーサイエンスハイスクール(SSH)の拡充、大学の理系学部転換の促進、高専の新設・拡充などを盛り込んでいる。
今回の提言は、第7期科学技術・イノベーション基本計画に向けた経団連の提言「Re:Genesis-科学技術・イノベーションで次代を創る」(2025年4月)を踏まえ、より長期的な2040年をターゲットに策定したもの。5月13日に筒井義信会長らが首相官邸を訪れ、高市早苗首相に手交した。
「科学技術」「産業・社会」「思想・哲学」の3つの柱に沿って、科学技術立国の実現に必要な改革を提言。このうち、「科学技術」の教育に関しては研究者や技術者の拡充に向けた抜本的な取組みが必要と指摘。高等教育段階は、分野横断による探究力・創造性の涵養を重視し、人文・社会科学系と自然科学系双方の学問の蓄積を基盤としながら、理系学部への転換や既存の理系学部の定員増を促進するための支援策を強化すべきとした。また、技術者の厚みを増すため、高専の新設や再編、高専からの大学編入の定員増などにも触れている。
中等教育段階については、文理融合による探究力・創造性の涵養を目的としたSTEAM教育を強化し、高度な探究活動を通じた理数系人材を育成するため、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)を拡充すべきと言及。初等教育段階では、児童・生徒の「好奇心」「探究心」をより一層育み、将来の研究者・技術者へつながる基盤を形成できるよう、教育内容・環境の転換を進めるべきとした。
若手研究者の処遇改善では、ポストドクター・博士課程の学生に対する支援の拡充、企業における博士人材の処遇制度の構築を提言。国境を越えた人材流動化・循環の加速に関しては、研究大学で留学・渡航支援制度を充実させ、学生・研究者に海外留学・派遣を義務付けることなどを提起している。
大学改革については、「大学の再編・統廃合を進め、わが国全体として大学配置の最適化を図ることが不可欠」と明言。国際卓越研究大学や地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)採択大学と並んで、新たに特定の大学を「研究大学」に指定する制度を整備する際は、世界的に秀でた研究力を有し、イノベーションの中核として産業競争力強化に貢献することが求められるとし、「研究大学」の研究開発や社会実装を中長期的に支援する制度を設けるべきとした。
「産業・社会」では、企業や大学における兼業・副業・クロスアポイントメントの拡大、大学等の報酬・処遇の経済界水準への引上げなどを提言。「思想・哲学」では、「AI×教育(学びの個別最適と思考の弱体化)」など、技術が突き付ける人間への問いの具体例をあげている。
「科学技術立国戦略」に関する提言の本文および概要版は、経団連Webサイトで公開している。












