文部科学省は2025年12月10日、公立学校施設の耐震改修状況フォローアップ調査結果を公表した。公立小中学校における耐震化未実施の建物は93棟で、前年度(2024年度)から42棟減少。耐震化未実施の建物は全国で100棟を下回り、耐震化率は99.9%であった。文部科学省は耐震対策が未完了の設置自治体なども公表し、引き続き早期の対策完了を要請している。
公立学校施設は、児童生徒が1日の大半を過ごす学習・生活の場であるだけでなく、災害発生時には地域住民の避難所になるなど重要な役割を担っている。建物の構造体の耐震化や屋内運動場などの吊り天井などの落下防止対策については、2015年度でおおむね完了しているが、一部の学校設置者において対策が完了していないことから、その後の取組み状況について毎年フォローアップ調査を実施している。
今回公表された調査結果は、2025年4月1日時点の状況をまとめたもの。調査対象は、福島県の一部自治体を除く、公立の幼稚園(幼保連携型認定こども園は含まない)、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校の建物。
非木造の構造体における耐震化未実施の建物は、全校種あわせて前年度の247棟から161棟へと86棟減少。全体の耐震化率は99.9%と、前年度から0.01ポイント進捗した。このうち、小中学校の耐震化未実施の建物は93棟で、耐震化率は99.9%。前年度からの1年間で42棟が耐震化を完了させた。耐震化が未完了の設置者は、前年度から8設置者減少し、残り28設置者。耐震性がない建物の残棟数が多い都道府県は「愛媛県」25棟、「北海道」20棟、「山口県」12棟、「岩手県」「新潟県」「高知県」各7棟など。
小中学校における吊り天井などの落下防止対策が未実施の屋内運動場などは、前年度から26棟減少し85棟となった。対策実施率は99.7%。対策が未完了の設置者は40設置者であった。屋内運動場などの吊り天井など以外の非構造部材の耐震点検実施率は98.7%。耐震点検を実施した学校の71.1%は、耐震対策が不要または完了していると判断された。
文部科学省は、構造体の耐震対策および非構造部材の耐震点検・耐震対策が未実施の設置者に対して、早期の対策を要請している。構造体の耐震化が未完了の設置者に対しては個別に進捗状況を聴取し、設置者ごとの事情を把握しつつ早期完了を要請してきているが、今後も構造体の耐震化完了に向けたフォローアップを継続的に実施するという。
また、老朽化した建物においてはガラスの破損や内外装材の落下など非構造部材の被害が拡大する可能性が高いため、安全確保の観点から、非構造部材の落下防止を含めた老朽化対策の取組みを支援。非構造部材の耐震点検・耐震対策が未完了の設置者に対して、個別のフォローアップを実施するとしている。










