文部科学省と環境省は2025年11月17日、全国の教育委員会や学校などに対し、政府がとりまとめた「クマ被害対策パッケージ」について事務連絡を通じて周知した。全国的にクマによる人身被害が深刻化していることを受け、学校や登下校時における児童生徒の安全確保に向けた取組みの強化を要請している。
全国でクマによる死者数が過去最多を大幅に更新するなど、国民の安全を脅かす深刻な事態となっていることを受け、政府は2025年11月14日に「クマ被害対策等に関する関係閣僚会議」を開催し、「クマ被害対策パッケージ」をとりまとめた。これを受け、文部科学省は教育委員会および学校が参考とすべき点を整理し、通知した。
通知では、文部科学省がこれまで発出した事務連絡(2025年10月30日付)や開催した緊急連絡会(同年11月6日)の内容を改めて踏まえ、クマの出没時に迅速かつ的確に対応できるよう、体制整備に努めるよう求めている。具体的には、通学路の点検・変更などの安全対策や、各地域の実情に応じた学校の危機管理マニュアルの改訂などをあげている。その際、環境省作成の「クマ類の出没対応マニュアル-改定版-」や、クマの生息地域をもつ教育委員会の取組事例を参考にすることも促した。
また、警察庁も「熊の出没による人身被害防止のための対応について(通達)」(2025年10月24日付)を発出し、警察と学校関係者が連携して児童生徒の安全確保などを図ることとしている。文部科学省は、鳥獣行政担当部局や警察などの関係機関と連携し、地域の実情に応じた対応を検討するよう重ねて要請した。
さらに、学校における安全対策を強化するため、文部科学省が支援する3つの事業について、クマ出没への備えとしても活用できることを周知し、次年度以降の活用検討を促している。事業の詳細は次のとおり。
(1)学校安全総合支援事業
各学校の危機管理マニュアルを見直すための専門家などの派遣を支援する。
(2)学校安全教室推進事業
都道府県などが実施する、クマ出没時の対応を含めた教職員などに対する研修の実施を支援する。
(3)地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業
スクールガードなど登下校見守りボランティアの活動にあたり、クマ対応に必要となる消耗品(クマ鈴、クマ用ベル、ホイッスルなど)の購入を支援する。
文部科学省は、2025年度の事業内容の変更を検討する場合については個別に相談してほしいとしている。







