松本洋平文部科学大臣は、研究開発学校の指定を受けている目黒区立上目黒小学校を訪れ、授業時間を5分短縮して生み出した時間を活用した特色ある教育活動を視察したことを2025年12月5日の会見で報告した。大臣は「受け身ではなく積極的に学ぶ姿が印象的だった」と述べ、今後の学習指導要領改訂に向けた検討にも生かす考えを示した。
同校では、授業短縮により生み出した時間を用いて特色ある教育活動を実施。大臣が視察に訪れた日は、子供が自ら学びたいテーマを設定して探究を進める「博士タイム」が行われており、主体的な学びが学校全体に根付いている点を高く評価した。また、教育委員会や教員との意見交換を通じて、授業時間を短縮しても学力が維持されている点、生み出した時間の一部を活用して教職員の研修や研究を進めながら特色あるプログラムを展開している点などを確認したという。時間短縮による授業の再構築や保護者の理解など、実践を広げるまでに多くの課題を乗り越えてきた経緯も認識したうえで、「次期学習指導要領の方向性とも一致する重要な取組み」との認識を示した。
文部科学省では今年度、目黒区を含む約50校で教育課程の柔軟化に関する研究を進めている。来年度からは、すべての都道府県・指定都市で「教育課程柔軟化先取り研究」を実施し、先行事例やノウハウを蓄積・共有しながら体系的に全国へ展開していく方針を示した。大臣は「教師と児童双方に余白を生み出し、教育の質を高めることが重要」とし、引き続き中央教育審議会で丁寧な議論を進めるとした。
また、東北大学が外国人留学生の授業料値上げを発表したことについて問われた大臣は、留学生支援体制の整備には相当のコストがかかる点を指摘。そのうえで「各大学が実情に応じて必要かつ適切な授業料を設定し、受け入れ環境の質向上と国際競争力の強化に取り組んでほしい」とコメントした。今回、東北大学は教育・研究・生活環境の質の向上に充てる方針を示していることから、国際卓越研究大学としての役割に期待を寄せた。







