JR東日本スタートアップは2025年11月27日、NIJINとともに教育・子育て領域での事業共創に向けた取組みを開始したと発表した。不登校児童生徒の増加や学校現場の負荷といった教育課題に対し、JR東日本グループの駅や地域拠点などのアセットを生かして取り組む新たな試みとなる。
全国の小中学校で不登校となる児童生徒は約35万人にのぼり、教育現場では「学びの個別最適化」「探究学習」「教員負荷の軽減」など、構造的な課題が顕在化している。オルタナティブスクール「NIJINアカデミー」は、こうした課題に対し、メタバース本校舎と全国32のリアル教室を通じて、子供ひとりひとりの主体性を軸にした新しい学びの場を提供している。累計入学者は500名を超え、出席認定率97%(自治体連携126件)と、既存の学校制度の中でも効果的な学び支援を実現してきた。
今回の取組みは、スタートアップ企業との共創によって社会課題の解決を目指す「未来変革パートナーシッププログラム」で採用されたもの。JR東日本スタートアップは、NIJINの「教育を社会にひらく」理念に共感し、鉄道沿線の地域資源を生かした共創を通じて、教育と地域がともに成長できる新たな仕組みづくりに挑戦する。
共創テーマは「学び場を変えて、子供も地域も丸ごと元気に~教育のフィールドを学校から地域社会へ~」。JR東日本グループがもつ駅・商業施設・地域拠点などのアセットを活用し、教育・地域・親子をつなぐ新しい社会インフラモデルの創出を目指す。
今後の検討テーマ例として、親子地域留学プログラムの展開(上信越エリアなど)、地域留学を起点としたリアル拠点形成、駅を学びのハブとするプログラム検討などがあげられている。親子地域留学プログラムでは、平日日中に行う親子の滞在・探究体験を通じ、地域との新しい関わり方を創出する。地域留学を起点としたリアル拠点形成では、地域内の空き施設や駅周辺スペースを活用し、継続的な学びと交流の場を整備する。駅を学びのハブとするプログラム検討では、教育・地域・企業が交わる「学びと働く」場の可能性について、今後の実証を通じて探る。
これらを通じ、子供たちが地域と関わりながら自ら学ぶ新しい教育体験を創出する。JR東日本スタートアップとNIJINは、教育を「学校の外」にひらくことで、地域まるごとが学び場となる社会の実現を目指す。「子供が元気になれば、地域も元気になる」という思いのもと、教育と地域が相互に支え合う仕組みを、鉄道沿線から全国へ拡大していくとしている。
NIJINアカデミーは2023年9月に開校した不登校小中学生向けのオルタナティブスクールで、全国38以上の都道府県から約500名超が入学している。「多層的な心理的安全性」「一流教師による対話的な授業」「子供主体のプロジェクト」をカリキュラムの柱に、学校に行けないことが劣等感・罪悪感にならず、すべての子供が希望をもてる未来を創る。学校に代わる学びの選択肢として、希望する生徒の9割以上が在籍校の出席認定を獲得している。
未来変革パートナーシッププログラムは2021年10月に開設し、当初のシード・アーリー期中心の支援から、2025年11月より「地域創生」「地球環境」「共生社会」の3つのテーマを軸に、企業の成長ステージを問わず募集する形へと進化した。JR東日本グループがもつ幅広い領域の企業とのマッチング、共創プランの練り上げ、実証実験の資金サポートなどに柔軟に対応する。社会変革を成し遂げ得るアイデアや技術と、JR東日本グループの経営資源をつなぎ、社会課題の解決や豊かな暮らしづくりを推進していく。









