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東京都のいじめ認知7万7,479件、暴力行為も増加…2024年度調査

 東京都教育委員会は2025年10月29日、2024年度の都内公立学校における児童生徒の問題行動・不登校に関する調査結果を公表した。暴力行為の発生件数は3,955件、いじめの認知件数は7万7,479件で、いずれも前年度から増加。小中学校の不登校児童生徒数は合計3万1,335人となった。

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いじめの状況「認知件数」と「解消しているものの割合」
  • いじめの状況「認知件数」と「解消しているものの割合」
  • いじめの状況 1校当たりの認知件数
  • いじめの発見のきっかけ

 東京都教育委員会は2025年10月29日、2024年度の都内公立学校における児童生徒の問題行動・不登校に関する調査結果を公表した。暴力行為の発生件数は3,955件、いじめの認知件数は7万7,479件で、いずれも前年度から増加。小中学校の不登校児童生徒数は合計3万1,335人となった。

 同調査は、都内の公立小学校、中学校、高等学校、特別支援学校などを対象に、暴力行為やいじめ、長期欠席などの実態を把握し、今後の施策に生かすことを目的に毎年実施している。調査対象は、東京都の公立小学校1,269校、中学校622校、高等学校192校、特別支援学校64校。

 2024年度の暴力行為の発生件数は3,955件で、2023年度から623件増加した。校種別にみると、小学校が2,418件(前年度比454件増)、中学校が1,507件(同164件増)、高等学校が30件(同5件増)と、すべての校種で増加した。暴力行為が発生した学校は全体の32.5%にあたる676校。1校あたりの発生件数は1.90件で、2020年度から増加傾向が続いている。態様別では、どの校種でも「生徒間暴力」がもっとも多く、学年別では小学校2年生、中学校1年生、高等学校1年生の加害児童・生徒数がもっとも多い傾向がみられた。

 いじめの認知件数は7万7,479件で、2023年度から7,727件増加。2021年度以降、増加傾向が続いている。2025年3月31日時点でのいじめの解消率は76.6%で、2023年度から1.0ポイント低下した。いじめを認知した学校の割合は89.0%で、現在の定義となった2013年度以降で最大となった。特に小・中学校では9割以上の学校がいじめを認知している。発見のきっかけは、小・中学校では「アンケート調査など学校の取組みにより発見」が最多であったが、高等学校では「本人からの訴え」が45.4%ともっとも多かった。態様としては、すべての校種で「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」が最多を占めた。いじめ防止対策推進法に規定する「重大事態」の発生件数は122件で、2023年度の107件から増加した。

 小・中学校における長期欠席者のうち、不登校の児童・生徒数は合計3万1,335人。内訳は小学校が1万3,296人、中学校が1万8,039人だった。2023年度と比較すると、小学校で21人増加、中学校で412人減少した。在籍者に占める不登校の割合を示す「不登校出現率」は、小学校で2.22%(前年度比0.01ポイント増)、中学校で7.68%(同0.12ポイント減)。「学校復帰率」は小学校31.6%、中学校25.2%で、ともに前年度より低下した。

 高等学校の不登校生徒数は、全日制で2,091人、定時制で3,298人、合計5,389人。不登校出現率は全日制で1.77%と前年度と同率、定時制で33.22%と前年度から減少した。中途退学者数は全体で2,217人で、内訳は全日制1,259人、定時制722人、通信制236人。退学率は全日制で1.1%、定時制で7.3%、通信制で13.7%であった。

 東京都教育委員会では、これらの課題に対し、スクールカウンセラーの配置や研修の実施、SNSなどを活用した相談窓口の設置などの取組みを継続している。今後は、2025年6月に策定した「いじめ総合対策【第3次】」の周知徹底や、不登校児童・生徒の事例データベースを活用した研修などを進めるとしている。

《吹野准》

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