文部科学省のあべ俊子大臣は2025年10月7日、定例記者会見を開き、大阪大学の坂口志文特任教授によるノーベル生理学・医学賞の受賞に対する祝意を表すとともに、基礎研究や若手研究者支援を中心とした研究力強化への決意を述べた。また、同日公表されたOECD国際教員指導環境調査(TALIS)2024の結果について、教員の勤務時間やストレスの現状に触れ、学校現場の働き方改革を一層進める考えを示した。
あべ大臣は会見の冒頭で、坂口志文特任教授のノーベル賞受賞とこれまでの研究業績に敬意を表し、今回の受賞は日本の研究者の高い研究水準を改めて世界に示すものであり、国民にとって大きな誇りと励みになると述べた。文部科学省としては、基礎研究の推進や若手研究者への支援を通じ、研究力の抜本的な強化を図る必要があると強調。「研究を続けられる環境が何より重要」との坂口教授の言葉を受け、継続的な支援や研究拠点の国際化、物価上昇に対応した基盤的経費の確保などを総合的に進めるとした。今後のノーベル賞受賞への期待にも触れ、科学技術立国を目指す日本として、多くの分野で国際的に高く評価される研究者が活躍し、研究を継続できる環境づくりに向けて、予算だけでなく、キャリアパスの整備にも取り組む考えを示した。
また、同日公表されたTALIS2024調査の結果についても言及。日本の小中学校教員の1週間の勤務時間は前回調査から減少したものの、依然として、調査参加国中でもっとも長いことを報告した。各国で学校に求められる役割は異なると前置きしたうえで、日本の教員の厳しい勤務実態を踏まえ、学校における働き方改革をさらに推進する必要があるとの認識を改めて示した。教職員定数の改善や支援スタッフの拡充など、予算面も含めて支援を強化するとしている。
加えて、教員のストレスが増加している点にも触れ、授業準備や採点、事務作業などに起因するストレスが前回調査時から増加しており、複合的な要因が想定されると分析。過度なストレスがかからない環境を整備し、教員の心身の健康確保と学校の指導運営体制の充実に総合的に取り組む考えを述べた。
会見ではこのほか、自民党の新総裁に高市早苗氏が選出されたことに対し、「女性が活躍することは大変重要であり、女性初の総裁誕生は喜ばしい」と述べ、女性登用や環境整備への期待を示した。