学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からのクレームに先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまなクレームに対応する際のポイントを聞いた。第249回のテーマは「次年度の行事予定を早めに伝えてほしい」。
何度かに分けて行事予定を伝えていく
このテーマについては、私は「何度かに分けて伝えていく」方法が良いのではないかと考えています。たとえば、12月末、2月初旬、3月初旬などです。私が勤めていた小学校では、2月末から3月初旬に伝えていたように記憶しています。
保護者に伝えることが遅くなってしまう理由もわかります。保護者に対して「正確な情報を伝えたい」という思いから、情報を発信するのが遅くなってしまうということです。日時が確定していない行事などがあり、それらがきちんと決まってから伝えたいということです。「正確な情報を伝えたい」という考え方はもちろん正しいことです。ただ、そのことが正しいからと言って、そのことだけが正しい訳ではありません。このテーマの場合、「早いタイミングで伝える」ということも親にとってはとても助かることです。それもまた正しいと言えるでしょう。「正確なこと」と「早いこと」のどちらも正しいことです。ただ、親の思いとしては「早く伝えてほしい」ということの方が強いのではと思います。
バランス感覚が求められる
学校を含む社会において起こる明らかに悪いと判断できる物事の場合、大きなトラブルにはなりません。誰が考えても適切な判断ができるからです。難しいのは、黒でもなく、白でもない、グレーである時です。黒っぽいグレーもあれば、白っぽいグレーもあります。上で書いたように「正確なこと」と「早いこと」の2つの項目があった時にどのようにバランスを取っていくのかということがポイントになります。どのあたりが良いのかということは、学校の状況によっても変わってきます。そういったバランス感覚が教職員には求められているのだと思います。
冒頭に書いたように何回かに分けて次年度の行事予定を伝えていく場合、実際には次のような感じになるのでしょう。12月末には、その時点で確定している予定を伝えていきます。大きな行事(運動会など)については日程が決まっていることがほとんどなので、それらを伝えます。さらに保護者が知りたいのは4月のスケジュールです。4月何日から学校が始まるのか、給食はいつからなのか、授業参観・懇談会はいつなのかなどの情報です。4月のスケジュールだけはできるだけ早く決め、それらをアナウンスしていくことで、保護者はとても助かります。可能であれば、12月末が良いですし、遅くとも1月末までが望ましいです。保護者の中には働いている人も多いです。学校の4月のスケジュールが早く把握できれば、職場に迷惑をかけることなく、学校行事に参加できる可能性も高まります。
1回目に伝えることをしておけば、2回目(2月初旬)、3回目(3月初旬)には追加で決まったことを伝えていきます。新年度が始まってから最終決定版を配っても良いですし、学校のホームページに掲載することでも良いでしょう。
年間のスケジュールを伝えるということだけでも、保護者と良好な信頼関係を築くことにつがなります。ただ、逆もあります。このこと1つで関係が悪くもなる可能性もあります。適切に対応していきたいです。
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