デジタルものづくり教育の可能性を広げる、マイクラカップ活動報告会レポート

　近年、教育分野でゲームの可能性が注目される中、特にサンドボックスゲーム「マインクラフト（以下、マイクラ）」はその自由度の高さと創造性を刺激する特性から、子供たちの学びのツールとして世界中で活用されている。

　日本国内でも、マイクラを活用した大規模なプログラミングコンテスト「マインクラフトカップ（以下、マイクラカップ）」が開かれ、次世代を担う子供たちの育成に大きく貢献している。本記事では、2025年3月26日に開催された「マイクラカップ活動報告会」の内容を紹介する。

マイクラカップとは

　マイクラカップは、子供たちがマイクラを使ってものづくりを体験する大会だ。単にゲームスキルを競うのではなく、参加者たちは与えられたテーマに対し、創造力や表現力、チームワークを駆使して作品を制作する。

　パソコンを1人1台所有することが当たり前になった現代でも、デジタルツールを駆使したものづくりを学ぶ機会は、地域や家庭環境によって大きな差がある。マイクラカップはデジタルものづくり教育を通して、子供たちの体験格差の是正を目指し、すべての子供たちにものづくりの楽しさ、そして創造性を育む機会を提供している。

地域コミュニティとの連携と企業パートナーシップ

　マイクラカップは地域コミュニティとの連携を重視し、各地でワークショップやイベントを開催。地域住民や学校教員が積極的にサポーターとして参加することで、子供たちの学びの場を支えている。日本財団の協力による「子ども第三の居場所」とも連携し、全国243か所にある施設でマイクラカップのワークショップや体験会を実施しており、多くの子供たちにデジタルものづくりに触れる機会を提供している。

　また、関西電力、積水ハウス、三菱地所、川崎重工業といった大手企業とパートナーシップを結び、特色あるワークショップを展開している。

マイクラカップの教育効果について

　報告会では、東京大学大学院との共同研究による「マイクラカップ参加者の創造性の変化に関する調査結果」も発表された。調査では、マイクラカップに参加することで、子供たちの創造的態度が全体的に向上することが示されたという。特に、創造的態度が低いと思っていた子供たちの伸びが顕著であり、チームで制作に取り組むことで、多様な考え方に触れ、創造性が刺激されることがわかった。

　さらに、学習塾に通っていない子供や、学校に通っていない子供も、マイクラカップを通じて創造性を伸ばしていることが明らかになった。このことは、マイクラカップが掲げる体験格差の是正という目標が、着実に達成されていることを示している。

次回大会に向けた新たな取組み

　最後に、第7回大会に向けた新たな取組みも発表された。これまでの活動をさらに発展させるため「デジタルものづくり協議会」が新たに設立され、大会運営を担う。今後は、研修事業や地域協定の伴走支援など、活動の幅をさらに広げていく予定だ。また、クラウドファンディングに挑戦し、集まった資金をもとに、地域でのワークショップや研修をさらに充実させていく計画だという。

　マイクラカップは、単なるゲーム大会ではなく、デジタルものづくり教育の可能性を追求するためのプラットフォームだ。地域コミュニティ、企業、教育機関との連携を深め、すべての子供たちに創造性を育む機会を提供している。今回発表された調査結果は、マイクラカップが子供たちの創造性を育むうえで、非常に有効な手段であることを示していた。今後のさらなる発展が期待されるマイクラカップの活動に注目したい。