インターネット回線事業を行うITSUKIは2025年1月17日から1月20日にかけて、全国の小中高等学校に勤務する教職員を対象に「学校現場におけるICT活用と通信環境の実態調査」を実施した。この調査により、学校現場でのICT活用状況や通信環境の実態が明らかになった。
近年、日本の教育現場ではデジタル化が急速に進んでいる。文部科学省が推進する「GIGAスクール構想」により、全国の小中高校で児童生徒1人1台の学習用端末が整備され、ICTを活用した教育が本格化している。しかし、教育現場のインターネット環境は依然として整備が不十分な状況にある。文部科学省が2024年4月に発表した「学校のネットワークの現状について」も、通信環境の課題を指摘している。
調査によれば、小中高等学校の教職員の6割以上が、少なくとも週に3回以上、授業でICT機器を使用していることがわかった。具体的には、「毎日」使用する教職員が46.2%、「週に3~4回」が18.7%という結果である。これにより、ICT機器が教育現場で日常的に活用されていることがうかがえる。
授業でICT機器を活用する場面としては、1位が「デジタル教材や動画の視聴」73.5%、2位が「授業中のリサーチ」53.3%、3位が「共同編集可能な資料の利用」37.3%という結果となった。これらの結果から、ICT機器はさまざまな教育活動において重要な役割を果たしていることがわかる。
一方で、学校で使用しているネットワーク回線については、「光回線」がもっとも多く50.2%であるが、その割合は5割程度にとどまっている。ついで「モバイルルーター」26.8%、「わからない」21.6%という結果であった。このことから、光回線の普及が進んでいるものの、まだ十分とは言えない状況が浮き彫りとなった。
さらに、学校の通信環境に対する不満については、6割以上の教職員が不満を感じていることが明らかになった。具体的には、「通信速度の遅さ」や「接続の不安定さ」がおもな不満点としてあげられている。通信トラブルが授業に与える影響としては、「教員自身が対応に追われる」が69.7%、「授業時間が削られる」が56.7%、「生徒の集中力が途切れる」が55.6%という結果であった。
今回の調査から、小中高等学校の教職員の6割以上がICT機器を週に3回以上使用していることがわかり、授業でのICT活用場面は多岐にわたることが確認された。しかし、通信環境に対する不満が多く、特に「通信速度の遅さ」と「接続の不安定さ」が課題として浮上している。これらの課題を解決するための取組みが求められている。