新学社は、小中学校の教師を対象に「学力調査等のCBT化と学習の結果や履歴の可視化への期待」に関する調査を実施した。調査は2024年12月27日から2025年1月6日まで行われ、1,029人の教師が参加した。調査結果から、CBT(Computer Based Testing)の導入に対する教師の期待と課題が明らかになった。
近年、さまざまな業界で認定試験や選抜試験にCBTが導入されている。文部科学省も「全国学力・学習状況調査」のCBT化を進めており、採点作業の効率化や迅速なフィードバック、学力データの詳細な分析が可能になるとされている。今回の調査では、教師がCBT化にどのような期待を寄せているのか、またどのような課題を感じているのかを探った。
調査によると、学力調査や学力検査の結果を児童生徒の学力向上に活用できていないと感じる教師は約6割にのぼった。多くの学校が都道府県や市区町村実施の学力調査を行っているが、その結果が教育現場で十分に活用されていない現状が浮き彫りになった。教師たちは、個々にあった指導の難しさや効果的な指導方法の模索、学校全体の取組みの統一不足に悩んでいるようだ。
2025年度(令和7年度)からの「全国学力・学習状況調査」のCBT化については、約9割の教師がパソコンやタブレットへの児童生徒の慣れを重要視している。CBTによる迅速なフィードバックや詳細なデータ分析への期待が高まっており、ICTを活用した学習が一般化する中で、操作スキルの向上やテスト環境への慣れが学力測定の正確性にも影響を与えると考えられている。
また、GIGA端末を利用している学校では、日ごろから課題の進捗状況や得点結果、学習内容などのデータを確認することが多い。学習ログを一元管理できるダッシュボードの導入に対しては約8割の教師が期待を寄せており、これにより児童生徒ひとりひとりにあった学習計画の立案や学力差の適切な把握が可能になると考えられる。
今回の調査を通じて、教師たちが抱える課題や、学力調査・学習ログの活用に対する期待が明らかになった。今後は、デジタルツールや仕組みを活用し、教員の業務負担を軽減しながら、児童生徒の個別指導を支援する体制の整備が求められるだろう。