岡山県教育委員会が提供する学習動画コンテンツサイト「おかやま まなびとサーチ」が2024年10月、2年連続でアクティブユーザー数10万人を超えた。岡山県内の小・中学生向けに無料で提供され、ログイン不要で誰でも視聴可能。現在400本以上のコンテンツがそろっており、今後も新しい動画が追加される予定だ。
「おかやま まなびとサーチ」は、新型コロナウイルスの影響で学校が休校となり、外部講師による授業や校外学習ができなくなったことを受け、子供たちの学びを止めないようオンラインで学習機会を提供するために2021年10月22日に開設された。その後、コンテンツの拡大や1人1台端末から簡単にアクセスできるようにするなどの発展をとげ、現在に至っている。
このサイトの特徴は、岡山県に特化したコンテンツを提供する点にある。たとえば、理科の教科書に登場する地層の写真は他県のものが多い中、岡山県の地層を題材にすることで、子供たちはより身近なものとして学びを実感できる。動画では、県内の博物館や美術館、工場見学、岡山で働く人々の仕事を紹介するなど、地域に根ざした内容が多く、実際に現地を訪れたり、体験したりできる施設が紹介されている。
また、動画の長さが短いことも特徴の1つ。1本あたり2分から5分ほどで、授業の導入部・展開部・終末部などでスポット的に活用することで、子供たちの興味を引き、次の学びへのきっかけを作る。授業全体は教師が行い、動画はその補助として使われるため、授業の時間を有効に活用できる。短時間で子供たちの興味・関心を引き出し、次の学びへとつなげるという形で活用されている。
さらに、VR(バーチャルリアル)コンテンツも提供されている。360°を見渡せるVR動画は、普段は訪れにくい施設や場所をその場で体験できる。たとえば、岡山の鉄鋼業を支える工場の見学や、川のようすを実際に見ることができるコンテンツなど、実際の体験に近い形で学べる。これにより、教科書では伝わりにくい実際のようすを感覚的に捉えることができ、学習効果が高まるという。
笠岡市立笠岡小学校では、実際に「おかやま まなびとサーチ」を授業で活用している事例がある。たとえば、小学校第6学年の理科「大地のつくり」を学ぶ際に、縄文時代と明治時代の岡山の海岸線を比較し、子供たちに「なぜ違うのか?」と考えさせるきっかけを作っている。また、VR動画を使って地層の広がりを確認することで、実際に地層を観察しているかのような感覚で学習が進み、子供たちは「自分事」として理解を深めている。
「おかやま まなびとサーチ」は単なる学習ツールにとどまらず、子供たちに地域への誇りをもたせるための大切な役割も果たしている。地元の地層や歴史的な遺産、企業などを紹介することで、子供たちは岡山に対する理解を深め、愛着をもつようになる。
また、2年連続でアクティブユーザー数が10万人を超えており、これは岡山県内の小・中学生の約3分の2が利用している規模。学校現場でも積極的に活用されており、今後はコンテンツがさらに追加され、岡山県内すべての小・中学校で、より多くの子供たちがこの学習コンテンツを活用できることが期待されている。