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インクルーシブ保育や園児減少など「保育の今とこれから」

 明日香が運営する保育研究プロジェクト「子ねくとラボ」は2024年8月5日、少子化による園児減少や保育士不足、多様性・インクルーシブ保育など、これからの保育業界に関して、所長の末廣剛氏の見解レポートをWebサイトに掲載した。

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保育の今とこれから(イメージ)
  • 保育の今とこれから(イメージ)
  • あなたは働いている中で、出生率の低下を実感することがありますか
  • あなたが考える、出生率低下の原因を教えてください
  • あなたは、保育士の立場として、出生率向上のために貢献できることがあると思いますか
  • 保育士の立場として、出生率向上のために貢献できると思うことがあれば教えてください
  • 保育施設として、出生率向上のために貢献できると思うことがあれば教えてください
  • 障害を1つの個性・多様性としてとらえるインクルーシブ保育についてどのように考えますか
  • あなたは、外国籍園児の保育に関して、難しさを感じたことがありますか

 明日香が運営する保育研究プロジェクト「子ねくとラボ」は2024年8月5日、少子化による園児減少や保育士不足、多様性・インクルーシブ保育など、これからの保育業界に関して、所長の末廣剛氏の見解レポートをWebサイトに掲載した。

 厚生労働省が発表した「2023年人口動態統計月報年計(概数)」によると、1人の女性が一生のうちに産む子供の数の指標となる「合計特殊出生率」は、過去最低の1.20を記録し、8年連続で前年を下回る結果となった。

 この結果を受け、日頃から子供や育児中の保護者と関わっている保育士は、出生率低下の事実についてどう感じているのかを探るべく、2024年7月、勤続3年以上の常勤保育士を対象に「出生率に関する保育士の意識調査」を実施。調査結果によると、約7割の保育士が、働いている中で「出生率の低下を実感することがある」と回答しており、出生率低下のおもな原因として「育児に対する経済的負担の懸念」(67.9%)や「育児に対する精神的負担の懸念」(35.8%)をあげている。

 一方で、52.9%が「保育士として出生率向上に貢献できることがある」と回答。具体的には、保育士として貢献できることとして「保護者の相談に乗り、育児のストレス軽減を図る」(71.4%)、「働く親のために、フレキシブルで多様な保育サービスを提供する」(42.9%)、「保護者参加行事などを通して育児の楽しさを伝える」(41.1%)など、保育施設として貢献できることとして「安心して預けられる職員体制」(61.3%)、「保育ニーズにあわせた発達支援」(34.0%)、「育児相談の場の提供」(31.1%)などをあげているという。

 また、少子化が加速しているとはいえ、共働き世帯は増加しており、保育ニーズ自体が高い状態であることは変わらない。ひとり親家庭や外国籍家庭、障害を抱える子供など、保育ニーズの多様性も広がり続けている。

 たとえば、2024年4月に0歳~5歳の発達障害を抱えている子供をもつ親を対象に実施した「発達障がいの子どもへの接し方に関する意識調査」では、96.0%の保護者から、障害を1つの個性・多様性としてとらえる「インクルーシブ保育」が必要であると、保育者側に対応を求める声があげられている。

 しかし、2024年5月に外国籍園児を保育した経験がある保育士を対象に行った「外国籍園児への保育課題に関する定点調査」では、外国籍園児の保育に関して、96.1%の保育士が、指示が伝わらない、保護者との連携が取れないといったことから「難しさを感じたことがある」と回答している。

 政府は、日本が他国に遅れをとるグローバル化の理由の1つに、グローバルな視野をもった人材の不足をあげているが、この課題に対して、現在の子供たちは幼少期のころから保育園などで当たり前のように多様性に触れている。そういった意味では、保育現場は、今後国をより良い方向へ変化させていく重要な起点になっていくのではないだろうか。末廣剛氏は、保育現場においてさまざまな課題があるとしつつ、子供たちのウェルビーイング実現を第一に、日々努力を続けている保育現場がたくさん存在することから、「保育者が安心して果敢にチャレンジできる環境の構築を、国に期待しています」とまとめている。見解レポート「保育の今とこれから」は、「子ねくとラボ」のWebサイトで読むことができる。

《木村 薫》

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