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【クレーム対応Q&A】夏休みに先生は何をしているの?

 クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第190回のテーマは「夏休みに先生は何をしているの?」。

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 学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第190回のテーマは「夏休みに先生は何をしているの?」。

夏休み中の先生について誤解されている?

 昔から「先生は長い夏休みがあってうらやましい」という言い方をされる事があります。私は現在は大学で教えていますが、以前は公立小学校に長く勤めていました。教員にとっての夏休みが「気楽でうらやましい」ものでないことは理解しています。私が小学校で働き始めた約30年前には夏休みにほとんど学校へ出勤しないような教員(自宅研修などが認められていた)も少数ですが、いたように記憶しています。学校を含めた社会全体がおおらかだったのもあるのでしょう。そういったころと比べて、現在の夏休みの学校(教員)はまったく違った状況です。研修や作業などの取り組むことも多いです。授業のある期間にやりにくいものを夏休みに詰め込んでいるような学校も少なくないです。

学校の実情をもっと伝えていくべき

 夏休みのことだけではありませんが、学校や教員のことについて、外部の人がきちんと理解していないと感じることが時折あります。学校は保護者や地域の人に対して、学校の実情をもっと伝えていくべきだと思います。たとえば、学校ホームページ(HP)をもっと効果的に活用することです。学校HPに日々の子供のようす(学びやその他の活動)を定期的に公開している学校は多いです。親などにとって自分の子供を含め、学校を知る良い機会となっています。そのHPを使って夏休みの教員のようす(研修や作業など)を伝えていくのです。

 夏休み前に、静岡県のある小学校のHPを見ていたら、市内の校長たちがその小学校を訪れ、子供たちの授業のようすを参観したという記事がありました。こういった記事は親にとって自分の子供に関するものではありません。ただ、学校について理解を深めてもらうという点ではとても意味のあるものだと思います。

 学校の教員になる人は周りに対してアピールなどをすることがあまり得意でない人もいます。「自分たちはこんなに仕事をしています」というようなことをアピールすることをあまり良しと思わない人です。そういった奥ゆかしさのようなものも大切なのですが、現在の学校を取り巻く状況は深刻です。学校の状況をきちんと伝えていくことの方が大事だと思います。学校や教員がどういった仕事をし、どれだけ大変な思いをしているのかということをきちんと外部の人に伝えていくべきでしょう。

 夏休みには子供が登校をしていないこともあり、学校HPの更新をストップさせている学校も多いです。そのタイミングで教員がどんなことをしているのかを伝えていくのです。具体的には、各種の研修(教育課程、安全、人権など)、学校内の維持管理業務(GIGA端末のケア、備品の点検、植物の水やり、プールの水質管理など)、2学期に向けた準備などでしょう。そういった内容を公開していくことは、外部の人が正しく学校を理解していくことにつながります。そういったことをしていくことで、冒頭の「先生は長い夏休みがあってうらやましい」という考えが誤解であることを知る人も増えるでしょう。相互理解、信頼関係の構築には、正しい情報をもとに行なっていくことが望ましいでしょう。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談のほか、保護者が学校へ伝えた相談など、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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