学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第189回のテーマは「夏休みにGIGA端末のことで困っている」。
GIGA端末持ち帰りの良い点と留意点
夏休みにはGIGA端末を家庭に持ち帰っている学校が多いです。文科省もそういった活用法を推奨しています。ただ、夏休みにGIGA端末を持ち帰ることについては、良い点も留意点もあります。学校としてはそういったことをきちんと把握したうえで色々なことに対応していきたいです。
まず、良い点についてです。GIGA端末を家庭に持ち帰ることで、個に応じた学びが取り組みやすくなります。夏休み前まで取り組んできた学びを継続していくこともしやすいです。それまで取り組んでいたアプリなどをそのまま使っていくというやり方も良いでしょうし、夏休みなどに特化したアプリなどを使っていくやり方も良いでしょう。1学期の復習に取り組む際、これまでは冊子形式のまとめドリルのようなものに取り組むことが多かったです。そういったものをデジタルに変えていくケースが多いようです。
基礎基本の学びだけでなく、発展的な学びに取り組む際もGIGA端末を活用することで質の向上が望めます。疑問に思ったことを調べることなどが容易になります。自由研究への取組みにもGIGA端末が活用できます。先ほど書いた調べることもそうですが、記録すること、まとめることなどに活用することができます。
これまで良い点を書いてきましたが、そういったことばかりではありません。留意点としては次のようなことが考えられます。
まずは「ハード」に関することです。落として壊してしまった、水を掛けてしまった、内部に砂が入ってしまったなどがあります。これは学校で使っている時と同様です。一部が使えなくなるような場合と完全に使えなくなるような場合があります。
また、使い方などの「ソフト」に関することも色々なトラブルが考えられます。「不適切な使用」と言われるもので「不適切な動画の視聴」「学習と関係のないゲームをする」「SNSでのトラブル」などです。フィルターなどは掛かっているのですが、子供達はそういった状況でも試行錯誤しながら自分たちのやりたいものにたどり着くことが多いです。
学校の対応としては、緊急なものは学校で対応するのだと思います。ハードに関することでは、学校に予備機があるようであれば、それと交換することなどでしょう。また、こういったことに関して、学校がすぐにでもできることとしては、親向けのWebサイト情報発信などでしょう。たとえば、総務省が「家庭で学ぶデジタル・シティズンシップ」という動画を作成しています。そういった信頼性の高い情報を保護者に提供していくことです。懇談会などで視聴することも良いですが、夏休みなどの時期にあらためてメールなどで発信していくことは意味のあることでしょう。
また、長期休業中のトラブルの対応については、自治体での窓口を作ることが望ましいでしょう。これはGIGA端末の対応だけではないのかも知れません。お盆の時期など学校がしばらくの期間、完全に閉じている時期を作っている学校もあります。市区町村教育委員会で対応の窓口を作っていくことは、保護者にとっても、学校にとっても良いことでしょう。
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