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高ストレスの教職員は上昇傾向…公立学校共済組合

 公立学校共済組合は2024年6月27日、公立学校教職員を対象にした「ストレスチェックデータ分析結果報告書」を公表した。高ストレス者の割合は上昇傾向にあり、2023年度の速報値では過去最多の11.7%。ストレス要因には「事務的な業務量」をあげる人がもっとも多かった。

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高ストレス者割合の状況(年次推移)
  • 高ストレス者割合の状況(年次推移)
  • 高ストレス者割合の状況(学校種別・職種別)
  • 高ストレス者割合の状況(年代別)
  • 高ストレス者判定に用いられる尺度の詳細分析(経年推移・全体)
  • ストレス要因の特徴
  • 高ストレス者のストレス要因の比較(2016年・2022年比較)
  • 就労時間の状況(年次推移)
  • 就労時間の状況(学校種別・職種別)

 公立学校共済組合は2024年6月27日、公立学校教職員を対象にした「ストレスチェックデータ分析結果報告書」を公表した。高ストレス者の割合は上昇傾向にあり、2023年度の速報値では過去最多の11.7%。ストレス要因には「事務的な業務量」をあげる人がもっとも多かった。

 ストレスチェック制度は2015年12月、メンタルヘルス不調を未然に防ぐ方策として、事業所に義務化された。公立学校共済組合では、教育委員会等に向けて、法定のストレスチェック制度に適合する「ストレスチェックオプション」を有料で提供している。

 今回、2016年度から2022年度までの7年間で蓄積された教育委員会の結果データを「公立学校共済組合のストレスチェックデータ分析結果報告書」にまとめて公表した。対象学校種は、幼稚園・こども園、小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校、高等学校、特別支援学校。対象職種は、校長、教頭、教諭、講師、養護教諭、栄養教諭、事務職員。7年間の回答者数は、延べ171万8,776人。

 報告書によると、高ストレス者の割合は、7年を通しておおむね上昇傾向にあり、2023年度の速報値では11.7%と過去最多を記録した。学校種別では、中学校と高校で高ストレス者割合が多く、7年を通しておおむね10%を超えていた。職種別では、教諭が一貫して高い水準で推移したほか、教頭と栄養教諭の上昇幅が大きかった。年代別では、30歳代と40歳代が高い水準で推移し、20歳代以下と30歳代は上昇幅が大きかった。

 高ストレス者判定に用いられる尺度を詳細に分析した結果では、男女ともに「働きがい」「上司・同僚からの支援」「仕事や生活の満足度」の値が高いほど良い(ストレス度が低い)傾向、「心理的な仕事の負担(量・質)」「自覚的な身体的負担度」の値が低いほど悪い(ストレス度が高い)傾向となった。

 具体的なストレス要因については、全体では「事務的な業務量」をあげる割合がもっとも高かった。高ストレス者はそれに加えて、「人間関係(同僚・上司)」をあげる割合が大幅に高かった。20~30歳代の若手教諭に限定すると、「対処困難な児童生徒への対応」「事務的な業務量」をあげる割合が上昇。「保護者対応」は、2016年度には20歳代で7位、30歳代で6位だったが、2022年度では20歳代で3位、30歳代で5位に浮上した。

 就労時間は全体的に減少傾向にあるが、高ストレス者の割合に低下傾向はみられなかった。ただ、就労時間が長いほど高ストレス者割合は多く、特に12時間以上の就労時間になると高ストレス者割合は急激に上昇し、睡眠の状態への顕著な影響もみられた。周囲のサポートとストレスの関係をみると、サポート状況が悪いほど、高ストレス者割合は高かった。

《奥山直美》

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