福島県内の高校教員の半数以上が「探究方法の指導」などに課題を感じていることが2023年12月6日、福島大学の調査結果から明らかになった。探究指導の経験年数が短い教員は指導方法そのもの、経験年数が長い教員は全体のマネジメントに関する課題をあげる割合が高かった。
福島大学は、県内高校の「探究学習」支援の充実に向け、実態を把握し、現場の課題を明確化しようと2023年9月14日~10月12日、「高等学校の探究学習の指導に関するアンケート」を実施した。調査対象は、福島県内の国立・県立・私立の高校103校。Webフォームを用いたアンケート調査で、84校124人から回答を得た。
探究学習の指導にあたる教員が、指導するうえで困っていることや課題と感じていることは、「探究方法の指導(問いの立て方、仮設の設定、まとめ方など)」55.6%がもっとも多く、「指導教員の専門性」52.4%、「指導教員間の連携・協力」「評価方法」49.2%と続いた。ほかの科目とは学習のスタイルが異なるため、多くの教員がその対応に苦慮していることがうかがえる結果となった。
回答者の探究指導の経験年数別にみると、経験年数が短い教員は「探究方法の指導」「評価方法」など指導方法そのものを課題と回答する割合が高い一方、経験年数が長い教員は「指導時間の確保・不足」「外部機関との連携」など全体のマネジメントに関する課題をあげる割合が高い傾向にあった。
自由記述では、「探究学習の指導技術の底上げ(探究学習に対する熱量や意識の違いの格差が大きい)」「指導方法がわからない先生が多い」「ミーティングや研修をもつのが難しい」「学校が忙しすぎる」「始まったばかりで全体像が見えないことが不安」などの意見が寄せられた。
外部との連携状況については、84.5%の学校が探究学習に関連して外部機関と連携していた。連携先は、「民間企業」が59.2%ともっとも多く、「行政機関(基礎自治体の市町村)」56.3%、「民間組織(NPO法人・NGOなど)」43.7%、「大学等高等教育機関」35.2%と続いた。
福島大学では、今回の結果を受け、支援の第一弾として「探究の流れ」や「問いの立て方」などをテーマに同大教員が解説する各5~10分程度の動画を作成・配信する予定。そのほかにも県内高校の探究学習支援として、さまざまな取組みを行っていくとしている。