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夜間中学、未設置自治体に検討着手求める…文科省

 全国の都道府県・指定都市のうち18団体が、夜間中学の新設に向け検討・準備中であることが2023年9月14日、文部科学省が公表した実態調査の結果から明らかになった。文部科学省は同日、夜間中学の未設置自治体に速やかな検討に着手するよう事務連絡を出した。

教育行政 文部科学省
夜間中学の設置・検討状況(2023年4月時点)
  • 夜間中学の設置・検討状況(2023年4月時点)
  • 夜間中学の設置・検討状況(2023年4月時点)
  • 教育機会確保法第14条に基づき講じた夜間中学などにおける就学機会の提供などに係る措置
  • 既存の夜間中学に対する取組み
  • 入学要件
  • 不登校となっている学齢生徒の受入れに向けた検討状況

 全国の都道府県・指定都市のうち18団体が、夜間中学の新設に向け検討・準備中であることが2023年9月14日、文部科学省が公表した実態調査の結果から明らかになった。文部科学省は同日、夜間中学の未設置自治体に速やかな検討に着手するよう事務連絡を出した。

 夜間中学とは、市町村や都道府県が設置する中学校において、夜の時間帯などに授業が行われる公立中学校を指す。戦後の混乱期の中で義務教育の機会を得られなかった学齢生徒のために設置され、現在はさまざまな背景をもつ生徒の多様な学びを保障する場となっている。

 文部科学省によると、夜間中学は2023年4月時点で、23都道府県・指定都市に44校が設置されている。2024年度(令和6年度)には新たに福島県福島市・群馬県・大阪府泉佐野市・鳥取県・宮崎市・北九州市・佐賀県・熊本県の7都道府県・指定都市、2025年度(令和7年度)には石川県・愛知県・名古屋市・三重県・滋賀県湖南市・岡山市の6都道府県・指定都市に設置される予定。

 文部科学省が、2022年5月1日時点で実施した「2022年度夜間中学等に関する実態調査」によると、全国の47都道府県・20指定都市教育委員会の夜間中学の設置状況(複数回答)は、「設置済」20団体、「新設に向けた検討・準備」18団体、「夜間中学がある他の自治体との連携」14団体、「夜間中学の積極的な広報、または相談窓口の設置」17団体、「ニーズ調査の実施」31団体、「いわゆる自主夜間中学などでの学習活動への支援」6団体だった。

 設置済の20団体が既存の夜間中学や設置市区への支援として行っている取組みは、「教職員の加配など体制の充実」75.0%、「夜間中学を設置する市区教育委員会との情報交換、協議など」60.0%、「専門スタッフの配置」45.0%の順に多かった。

 また、夜間中学40校を対象にした調査によると、在住・在勤の入学要件では「設置されている都道府県内在住者のみ」42.5%、「設置されている都道府県内在住者、または在勤者のみ」37.5%、「設置市区内在住者、または在勤者のみ」10%、「設置市区内在住者のみ」7.5%と続き、「在住・在勤の場所を問わない」はわずか2.5%だった。

 不登校となっている学齢生徒の受入れに向けた検討状況については、「検討していない」が77.5%を占め、「不登校特例校として学齢生徒を受け入れている」は5.0%にとどまった。「今後、ニーズを把握しつつ、検討を開始する予定」は15.0%だった。

 文部科学省は9月14日、夜間中学の設置・充実について、都道府県・指定都市教育委員会に事務連絡を発出。未設置自治体に対して、ニーズ調査の実施など、夜間中学設置の速やかな検討に着手するよう求めている。設置自治体に対しては、希望者が1人でも多く通うことができるよう夜間中学の設置・充実に向けた取組みの一層の推進をあらためてお願いしている。

《奥山直美》

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