千葉県教育委員会は2023年6月14日、千葉県公立高等学校入学者選抜改善検討会議の報告書を公表した。2023年度（令和5年度）入試における採点誤りを受け、改善策としてマークシートやデジタル採点システムの導入、採点日程の見直しなどを提言している。
2023年度千葉県公立高等学校入学者選抜では、県立高校1校で複数の教科に採点誤りがあったことが判明。全公立高校に再度採点内容を確認するよう指示したところ、県立高校120校中92校で870件、市立高校7校中6校で63件にのぼる採点誤りが見つかり、5校6名の受検者が本来合格のところ不合格となっていた事実が明らかになった。千葉県教委は、事態を重く受け止め、原因究明と実効性のある再発防止・改善策などをとりまとめるための改善検討会議を設置。今回の採点誤りが人為的ミスによるところが大きいことから、3回の会議を経て抜本的な改善策について議論を行い、報告書を取りまとめた。
改善策として、マークシートおよびデジタル採点システムの導入を提言。マークシート導入により選択問題の採点誤りをなくすことができ、デジタル採点システム導入により複数の記述問題の解答を1つの画面に同時に表示して採点を行うことができるなど、正確で効率的に採点できる点が有効だとした。また、採点誤りの内容として2番目に多かった「小計・合計の誤り」も計算が自動で行われるため改善される。一方で、受検者の思考力や表現力の評価などの観点から記述式問題は残すべきとし、記述式とマークシートの割合については、県教委の検討事項とした。
そのほか、2組体制での採点とボーダーライン付近の点検の実施や、採点業務に集中できるよう、採点のみを行う採点日を2日程度設けるなどの案があがった。学校への調査から、採点誤りのおもな原因として採点者の集中力の低下や慣れ、他者が採点した答案は「正しい」という点検者の心理、採点業務の合間に授業を行わなければならない環境などがあげられ、抜本的にそれらを改善する案が示された。
千葉県教委は、報告書を踏まえた改善策を7月中旬に公表予定。あわせて、具体的な準備、実施スケジュールなどを公表する。8月には公立高校入学者選抜実施要項説明会において、生徒・保護者などに改善点について具体的に説明する予定。また、公立高等学校校長会議、副校長・教頭会議などでも改善策についての説明や研修を行うとしている。
