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まもなく卒園式…約8割の保育士が行事業務「精神的負担」

 子供や保護者にとって一大イベントである卒園式や入園式等、保育園で行う行事業務に関して、約8割の保育士が「精神的な負担」を感じていることが、保育研究プロジェクト「子ねくとラボ」を運営する明日香が発表した調査レポートから明らかになった。

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保育士の催事業務の負担に関する実態調査 調査サマリー
  • 保育士の催事業務の負担に関する実態調査 調査サマリー
  • 勤務する保育園でどのような行事を行なっているか(複数回答)
  • どのような行事業務を行なっているか(複数回答)
  • 年間を通した行事業務(行事・製作含めた業務)は、全体の業務の中でどのくらいの割合を占めるか
  • 行事業務が精神的に負担に感じた経験はあるか
  • 行事業務が精神的に負担に感じた具体的な経験(複数選択)
  • 行事業務が身体的に負担に感じた経験はあるか
  • 事業務が身体的に負担に感じた具体的な経験(複数回答)

 子供や保護者にとって一大イベントである卒園式や入園式等、保育園で行う行事業務に関して、約8割の保育士が「精神的な負担」を感じていることが、保育研究プロジェクト「子ねくとラボ」を運営する明日香が発表した調査レポートから明らかになった。

 保育士の催事業務の負担に関する実態調査は、イベントや行事を行う保育園に勤める保育士108名を対象に、インターネット調査にて実施。調査期間は2023年1月19日~20日。

 年間を通した行事業務(行事・製作含めた業務)が全体業務の中で占める割合については、「30%~40%未満」22.2%、「40%~50%未満」11.1%、「50%以上」17.6%となり、半数が全体業務の30%以上を占めていた。

 行事業務を「精神的」に負担に感じた経験はあるかとの質問には、「かなりある」37.1%、「ややある」42.6%と、計79.7%が「精神的負担を感じている」いう結果に。精神的負担を感じる具体的な経験としては、「休日も仕事のことを考えていた」57.0%がもっとも多く、ついで「行事のための練習が多く、行事のための保育になってしまっている」54.7%、「子供ひとりひとりに向き合う時間が取れなかった」47.7%が上位にあげられた。

 さらに具体的なエピソードを自由回答で聞いたところ、「大きな行事がコロナや天候で中止になりかけ、保護者からのクレームがたくさん来た」「いろいろな先生の方向性の違いがあり、意見をまとめることが難しい」「園長が急にやり直しなどを求めたり、前年度を上回るレベルのものを求められる」「行事に必要な物を個人で購入しなくてはいけない」等、準備段階から開催直前まで多くの負担がかかっている現状がみられる。

 行事業務を「身体的」に負担に感じた経験については、「かなりある」31.5%、「ややある」40.7%と、計72.2%が「身体的負担を感じている」と回答。身体的に負担を感じる具体的な経験では、「残業や持ち帰りの仕事があった」53.8%、「休憩時間を削って準備を行った」30.8%との意見が多くあがった。

 現在、園児ひとりひとりに向きあった保育が実現できていると思うか、との問いには、「あまりそう思わない」27.8%、「まったくそう思わない」6.5%との回答となり、およそ3人に1人が園児ひとりひとりに向きあった保育ができていないと実感している。障壁になっている要因については、「業務が多いから」86.5%、「保育士の人手が足りないから」70.3%、の2つに意見が集まり、慢性的な業務量の多さや人手不足がうかがえる。

 また、行事業務に精神的負担を感じていると回答した人を対象に、もし行事業務を行う際に「行事手当」等の待遇改善があれば行事に対する意欲は向上するか、と質問したところ、47.7%が「かなり向上する」、45.3%が「やや向上する」と回答した。

 調査レポートの全文は、子ねくとラボのWebサイトで見ることができる。


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