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【相談対応Q&A】チャット、SNSで悪口を書かれた

 クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第117回のテーマは「チャット、SNSで悪口を書かれた」。

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 学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第117回のテーマは「チャット、SNSで悪口を書かれた」。

デジタル機器との関わりが重要に

 今を生きる人たち(子供を含め)にとって、タブレット/PC/スマホとどのように関わっていくのかということはとても大切なことです。特に新型コロナウイルスと関連し、GIGAスクール構想により日本中の子供たちにGIGA端末が配布されて以降、子供たちにとってデジタル機器との関わりは重要となっています。

 この3年、GIGA端末を用いた活動が日本中で取り組まれてきました。学びを深め、高めることにつながったケースはたくさんあります。導入におけるゴタゴタも少しずつ収まりつつあるように感じます。そういった状況において問題になることが今回のテーマである「チャット、SNSで悪口を書かれた」というものです。

学校と保護者が協力して取り組む

 このテーマは、子供を取り巻くさまざまな要素が絡み合っているものです。シンプルに「何が悪い」「何を変えれば解決」というものではありません。状況を整理しながら考えていきたいと思います。

 まず、大前提となるのが、どういった状況であれ「学校と保護者が協力して取り組む必要がある」ということです。両者が互いに責任を押し付けあったり、批判し合ったりという状況では、うまくいく訳がありません。こういったケースでは、最悪の事態も考えられます。相手を批判しているのではなく、それぞれが何をすることができるかを考え、取り組んでいくことが大切です。

 1つ目の視点は、デジタル機器が「GIGA端末(学校が配布したもの)」なのか「私物」なのかということです。GIGA端末の場合、学校や自治体に大きな責任があります。その端末が不適切なサイト等へ繋ぐことができないようにハードのレベルでできる限りの対応する必要があります。私物のスマホ等の場合、学校は関与がしにくくなります。そういった場合、親がすべきことが多くなります。

 2つ目の視点は、デジタル機器との関わり方についてです。GIGAスクール構想により、それまでと現在では学校を取り巻く状況が大きく変わっています。社会におけるデジタル機器の重要度、必要度も年々増しています。どんな仕事であっても、どんな生活様式であっても、デジタル機器との関わり無しに暮らしていくことは難しいでしょう。問題があるからデジタル機器との関わりをシャットアウトしてしまうというやり方は望ましいやり方ではないでしょう。今の子供は身の回りにデジタル機器が普通にある状況です。それらとどのように関わっていくのか、できるだけマイナス面を減らし、プラス面が多くなるようにするにはどうしていったら良いのかを探っていくべきです。

 デジタル機器は「文房具」のようだと言われます。ただ「分度器」や「コンパス」等とは大きく違うと私は考えています。デジタル機器は使い方によって、大きくプラスの働きもしますが、場合によってはマイナス面も大きくなる可能性のある道具です。これは分度器やコンパスとは比較にならないほどです。特にマイナス面の影響としては、今回のテーマであるSNSでの悪口等がそれに当たります。そういったことにより、子供同士の人間関係が崩れ、それが進み、登校渋り、不登校等つながっていく可能性もあります。さらに、最悪の形として「自殺」となってしまうケースも無いわけではありません。

 こういったことを踏まえると、今後はこれまで以上に学校においても、家庭においても、デジタル機器との関わり方について学ぶ機会を増やしていくことが必要でしょう。鉛筆やノートの使い方、話し方等と同様、相当の時間を掛けて取り組んでいくことが望まれます。特にモラル等については、さまざまな切り口での取り組んでいくことが考えられます。道徳の時間において少なくない時間を情報のモラル等の学びにあてることも良いでしょう。他の授業においても学びの下支えをする最重要な項目として、デジタル機器との関わり方について取り組んでいくことが望まれます。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談の他、保護者が学校へ伝えた相談等、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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