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2022年第二次補正予算…「デジタル教科書活用のための通信環境調査研究」とは?

 2022年12月2日、参院本会議で2022年度第二次補正予算案が可決、成立した。この記事では、本補正予算でも5億円が計上されたデジタル教科書・デジタル教材等の活用促進のためのネットワーク環境整備事業について整理する。

教育行政 文部科学省
デジタル教科書・デジタル教材・学習支援ソフトウェアの更なる活用のための通信環境・通信設備の調査研究
  • デジタル教科書・デジタル教材・学習支援ソフトウェアの更なる活用のための通信環境・通信設備の調査研究
  • 学習者用端末で必要になる通信帯域(回線速度)

 2022年12月2日、参院本会議で2022年度第二次補正予算案が可決、成立した。この記事では、本補正予算でも5億円が計上されたデジタル教科書・デジタル教材等の活用促進のためのネットワーク環境整備事業について整理する。

デジタル教科書利活用に必要不可欠なネットワーク環境を整備

 2022年12月2日に成立した2022年度第二次補正予算では、GIGAスクール構想の推進に95億円が計上された。このうち、「デジタル教科書・デジタル教材等の更なる活用のための通信環境の調査研究」の補正予算額は5億円だった。

 1人1台端末の整備が完了し、GIGAスクール構想は環境整備から利活用促進の段階に進められつつあるなか、2024年の本格導入を目指すデジタル教科書について、文部科学省が2022年8月31日に発表した調査結果によれば、2022年3月時点での学習者用デジタル教科書整備率は36.1%だった。前年度の6.2%と比べて29.9ポイントと大きく上昇し、全国の学校において着々と準備が進められているといえる。

 一方で、クラウドサービスで提供されるデジタル教科書やデジタル教材を活用するためには、依然課題もある。必要不可欠なのは、コンテンツに支障なくアクセスできる通信ネットワーク環境の整備だ。中央教育審議会初等中等教育分科会 教科書・教材・ソフトウェアの在り方ワーキンググループでは、教科書コンテンツの軽量化等の必要性に加え、デジタル教科書利用時におけるネットワーク負荷についても指摘されている。

 こういった状況を背景に、「デジタル教科書・デジタル教材等の更なる活用のための通信環境の調査研究」では、すでにデジタル教科書等の活用に取り組んでいる学校を対象に、学校内外の通信環境や実際の通信量、児童生徒の活用状況等を調査・研究・共有し、更なる活用に必要な環境整備を各自治体が効率的に行うことを促進するとしている。

各学校ごとの通信ネットワーク環境の把握を

 文部科学省「学習系ネットワークにおける通信環境最適化ガイドブック」によれば、見開きデータ容量を2MB、ダウンロードに要する許容時間を3秒と仮定し、児童・生徒が一斉に閲覧する(ページをめくる)ことを想定した場合、学習者用端末で必要となる通信帯域(回線速度)は、1台当たり5.33Mbps、40人1クラスあたり213.2Mbpsだ。ただし、もちろん使用するデジタル教科書や1授業における閲覧頻度等は各学校によって異なることから、「自分の学校でデジタル教科書を使う際に必要な回線速度はこれくらいだ」と把握していることが求められるだろう。

 また、現在は速度に不満がなくとも、今後デジタル教科書の活用が当たり前になり、学校全体で複数クラスが同時にデジタル教科書へアクセスすることを想定すると、それに耐えうるだけのネットワーク環境を整備することが求められる。

リシード「学校インターネット回線速度計測」

  リシードでは、「学校インターネット回線速度計測」サービスを提供している。利用料は無料で、全国の学校で利用できる。

リシード 学校インターネット回線速度計測

 「学校インターネット回線速度計測」は、サーバ環境に左右されない通信速度測定システムとして定評があり、今年サービス開始20周年を迎えた「RBB SPEED TEST(アールビービー スピードテスト)」を、学校向けに改良して提供するもの。

 全国の国公立・私立「小学校」「中学校」「高等学校」「大学」「専門学校」に対応しており、学校名・接続状況・回線(不明な場合は選択不要)を選択して測定するというシンプルな操作で利用し、授業前の確認、教室や機器ごとの回線速度の違いの把握などに活用できる。

 「学校インターネット回線速度計測」を定期的に実施し、上掲の表とあわせて学校の回線環境の把握・改善に役立てていただきたい。


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《多賀秀明》

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