教育業界ニュース

高校の部活動改革案、2023年度より近隣校をペアに…大阪府

 大阪府教育庁は2022年11月8日、府立高校の部活動について「部活動大阪モデル」として、近隣2校でペアを組んで活動する改革案を公表した。2023年度から土日・長期休業中のペア練習を開始し、将来的には合同チームで大会に参加。教員の負担軽減も図る。

教育行政 教育委員会
「部活動大阪モデル」のスムーズな実現に向けて
  • 「部活動大阪モデル」のスムーズな実現に向けて
  • 府立高校における部活動の活動状況
  • 府立高校教員の時間外の状況と要因
  • 「部活動大阪モデル」の考え方
  • 複数校での部活動のメリット・デメリット

 大阪府教育庁は2022年11月8日、府立高校の部活動について「部活動大阪モデル」として、近隣2校でペアを組んで活動する改革案を公表した。2023年度から土日・長期休業中のペア練習を開始し、将来的には合同チームで大会に参加。部活動指導員等の配置により、教員の負担軽減も図る。

 大阪府教育庁によると、少子化の影響による生徒数の減少にともない、府立高校では部活動に加入する生徒が減少。部員数が少ない部活は増加傾向にあり、2022年度現在、ラグビーの69.0%、女子ソフトボール部の53.4%、女子ハンドボール部の29.8%、サッカー部の18.4%、硬式野球部の16.5%は、単独では試合人数を満たさない状況にあるという。

 「部活動大阪モデル」は、部活動が生徒の多様な「学びの場」として教育的意義が大きいことを鑑み、持続可能な部活動運営を行うための改革案。11月8日に開かれた大阪府総合教育会議で示された。2021年度調査で、時間外在校等時間が年間360時間を超える府立高校教員が約半数を占め、ヒアリング調査では半数以上の管理職がおもな要因に部活動指導があげており、部活動改革の背景には教員の負担軽減もあるという。

 「部活動大阪モデル」では、原則すべての全日制課程の府立高校で合同部活動のためのペアリングを検討する。ただし、ペアリングで人数が多くなり過ぎると、生徒の十分な活動内容を確保できなくなる可能性があるため、単独で部活動が一定規模を超える高校は除く。また、部活動が授業と連動している体育科設置校等も除く。移動にかかる生徒の負担を減らすため、自転車で15分以内の近距離の高校間でペアリングする。

 ペアが成立した高校では、部活動ごとに部員が移動し、練習を合同で実施。文化部については、可能な範囲でオンラインでの活動を併用する。ペアが成立しなかった高校でも公式大会等への参加機会を確保するため、一定の条件のもと、土日中心の合同部活動の実施を検討する。実施にあたっては、教員の負担軽減のため、部活動指導員等の専門的指導員の配置を検討する。

 2023年度から、土日・長期休業中にペアでの練習をスタート。その後、状況を踏まえ、平日もペアで練習し、将来的には合同チームによる大会参加を目指すという。

 ただ、ほとんどの団体競技種目の公式大会では、合同チームの参加が認められていない。一部の競技種目では、単独で試合人数に満たない学校同士の合同チームを府大会に限り出場可としているが、近畿大会やインターハイ等の全国大会への出場は不可。大阪府教育庁では、公式大会への参加要件等の制度改正についても、関係省庁や高野連等の大会主催者に働きかけるとしている。


《奥山直美》

この記事はいかがでしたか?

  • いいね
  • 大好き
  • 驚いた
  • つまらない
  • かなしい

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top