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高校必修科目・探究、教員の半数「調べる時間や人脈ない」

 2022年度から高校で必修となった「総合的な探究の時間」の指導で、半数の教員が「生徒からの質問に答えるために情報を調べる時間や、大学の研究室等への人脈がない」と回答していることがトモノカイが2022年8月22日に公表した調査結果から明らかとなった。

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「探究」を教えていて感じる課題ななんですか
  • 「探究」を教えていて感じる課題ななんですか
  • 感じた課題をどのように解決しようとしていますか
  • 学校の通常授業以外で生徒の探究学習をするとしたら、どのようなことに取り組みたいですか

 2022年度から高校で必修となった「総合的な探究の時間」の指導で、半数の教員が「生徒からの質問に答えるために情報を調べる時間や、大学の研究室等への人脈がない」と回答していることがトモノカイが2022年8月22日に公表した調査結果から明らかとなった。

 「総合的な探究の時間」の指導に関する実態調査は、トモノカイと文部科学省初等中等教育局視学官として新学習指導要領作成に携わった國學院大學 人間開発学部初等教育学科の田村学教授が共同で、全国の高校で「探究」を指導している教員360人を対象にインターネット調査を実施したもの。調査期間は、2022年7月14日~28日。なお、有効回答数360サンプルのうち「探究」の指導経験者は301人で、トモノカイによる「探究」のサポートを受けている教員は調査対象外としている。

 まず「探究」の指導経験者に指導中の課題について尋ねたところ、「生徒からの質問に答えるために情報を調べる時間がない」が23%でもっとも多く、ついで「生徒からの質問に答えるために大学の研究室などに問い合わせるネットワークがない」が22%と続いた。その他、5%の教員が「生徒からの質問に答える方法がわからない」と回答。教員の知識だけで生徒の質問に答えることに負担を感じているようすがうかがえる結果となった。

 次に、「探究」を教えていて感じた課題の解決方法を尋ねると、43%が「教員同士で指導法を検討」と回答し最多となった。また、「指導法をレクチャーするセミナーに参加」は22%いたものの、「塾や指導の専門機関を学校に招き勉強」は4%のみで、専門家等に指導のアドバイスを求めながらも、学校でのサポートは限られていることが明らかとなった。

 最後に、もし学校の授業外で生徒の探究学習をサポートするとしたら、どのようなことに取り組みたいかを尋ねたところ、「放課後の教室で学生が生徒の学習をサポートする」が34%で最多となった。一方「放課後の教室で教員が生徒に補習指導を行う」は31%と、わずかな差だが、この結果からも教員以外の指導を求める意見が多いことがわかった。

 國學院大學の田村教授は「探究においては、生徒の学びを支え、ともに伴走する姿勢が大切であるとともに、そうした生徒のニーズに対応するためにもさまざまな外部リソースを活用することを検討していくことが求められます。確かな探究の実現のためには、学校だけで対応しようとするのではなく、地域社会や企業、大学などとの連携を積極的に行い、『社会に開かれた教育課程』を実現しようとする姿勢が重要になるのではないかと思います」とコメントしている。


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